2025-04-24 コメント投稿する ▼
石破首相、ルクセンブルク首相と会談 宇宙・金融・AIで連携強化へ 外交100周年も見据え
石破首相とルクセンブルク首相が会談
宇宙から金融まで、協力分野を拡大へ
石破茂首相は4月24日夜、来日中のルクセンブルクのリュック・フリーデン首相と首相官邸で会談し、航空宇宙や金融、AIなどの分野で連携を深めていくことで一致した。両首脳は夕食をともにしながら、2時間以上にわたり意見を交わした。
月面探査がつなぐ両国の縁
会談では、今年1月に打ち上げられた日本の宇宙ベンチャー企業ispaceの月面着陸船に、ルクセンブルクで開発された月面探査車が搭載されていたことが話題に上った。この探査車は鳥取砂丘で試験走行を行っており、日・ルクセンブルクの宇宙分野での連携の象徴といえる。
両首脳は、こうした民間主導の先進的な取り組みを国としても後押しし、宇宙開発をはじめとする先端技術分野での協力を一層強化していく方針を確認した。
「100周年」に向けて金融・AIでも連携強化
再来年の2027年には、日本とルクセンブルクの外交関係樹立から100年を迎える。これを節目に、両国は金融やAI、スタートアップの育成といった新たな分野でも関係を深めることを決めた。
フリーデン首相は、金融センターとしてのルクセンブルクの役割を強調し、「日本の企業が欧州市場に進出する際のパートナーになりたい」と述べた。石破首相も「日本の技術力とルクセンブルクの国際ネットワークを生かし、新しい経済の流れをつくっていきたい」と応じた。
国際情勢への危機感も共有
世界情勢についても踏み込んだ議論がなされた。特に、ウクライナ情勢や東アジアでの緊張に関連し、「力による一方的な現状変更は、どこであれ認められない」との立場で一致。国際社会における法の支配と平和維持の重要性を強調した。
また、アメリカが打ち出した一連の関税措置についても言及があり、それが世界経済や自由貿易体制に与える影響について、両者は懸念を共有したという。
若者の交流にも期待
文化や人的交流の推進にも話が及んだ。すでに日・ルクセンブルク間ではワーキングホリデー制度が始まっており、今後は若い世代の交流をさらに広げる方針だ。2025年の大阪・関西万博にもルクセンブルクは積極的に参加する予定で、両国の相互理解を深める機会となりそうだ。
- ispaceの月着陸船にルクセンブルクの探査車が搭載、鳥取砂丘での試験も話題に
- 金融・AI分野でも連携を強化、100周年を契機に協力拡大へ
- ウクライナや東アジア情勢について「力による現状変更は認めない」と一致
- ワーキングホリデー制度など、若者交流の活性化にも期待
石破首相は会談後、「技術と信頼を土台に、ルクセンブルクとのパートナーシップをより一層強固なものにしていきたい」と語った。外交関係100周年を控える中、日・ルクセンブルクの関係がどこまで深化するか、今後の展開が注目される。