2025-04-23 コメント投稿する ▼
日本、UNHCRに66億円支援へ 岩屋外相「今こそ国際社会の連帯を」
UNHCRとの協力強化へ 岩屋外相「今こそ国際社会の連帯を」
日本政府は、資金不足に陥っている国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)との協力を強化する姿勢を鮮明にした。4月23日、岩屋毅外務大臣のもと、外務省とUNHCRによる政策協議が都内で開かれ、日本政府は2025年の活動に向けて約66億円の支援を決定した。
会談には日本側から日下部英紀・国際協力局審議官、UNHCRからはケリー・クレメンツ副高等弁務官が参加し、紛争や気候変動の影響で増え続ける難民・避難民への対応について、現場の厳しい実態や支援のあり方をめぐり意見を交わした。
UNHCRは3月、米国の開発援助庁(USAID)からの大幅な支援停止を受け、「数百万人の命が危機にさらされている」と訴え、「これは資金の問題ではなく、国際的な責任の問題だ。今こそ連帯の時だ」と各国に呼びかけていた。
岩屋外相は、「日本としても国際社会の一員としての責任を果たすべきだ」と述べ、拠出金に加えて、JICA(国際協力機構)や企業、NGOとの連携を強化し、難民支援の幅を広げていく方針を明らかにした。
強制送還をめぐる立場の違いも浮き彫りに
一方で、日本政府とUNHCRの間には立場の違いもある。UNHCRは、各国が難民を保護する義務の一環として「強制送還」を否定すべきだと主張しており、過去には「強制送還はゴミ箱に捨てるべきだ」との投稿を行ったこともある。
これは、日本政府が「主権の範囲内」として認めている送還手続きと、国際人道基準との間にギャップがあることを示すものだ。今回の協議ではこの点についても話し合われたとみられるが、具体的な発言内容は公表されていない。
難民支援に国際的な危機感
UNHCRが置かれている状況は深刻だ。人道支援予算が削減されるなか、避難民の多くが食料や医療、教育といった基本的な支援を受けられなくなりつつある。ウクライナやスーダンなど、複数の地域で支援が打ち切られる事態も現実味を帯びてきている。
日本政府の今回の支援は、UNHCRの活動を下支えする重要な一歩だ。外務省幹部も「日本の支援が他国の協力を促す呼び水になることを期待している」と語る。
- 岩屋外相はUNHCRとの協力強化を表明し、66億円の支援を決定
- 米国の支援停止を受けてUNHCRは国際社会に連帯を呼びかけ
- 難民支援にはJICAやNGOなどの多様な連携も重視
- 「強制送還」問題では、UNHCRと日本の立場の違いも露呈
- 世界的な人道支援危機の中、日本の支援が重要な役割を果たす見込み