2025-04-22 コメント投稿する ▼
公立高入試に「デジタル併願制」導入へ 石破首相が単願制の見直しを指示
公立高校入試改革へ:石破首相が「デジタル併願制」の導入を指示
石破首相は4月22日、公立高校入試における「単願制」の見直しを関係省庁に指示し、受験生が複数の高校を志望できる「デジタル併願制」の導入を検討するよう求めた。この制度は、受験生が志望順位を付けた複数の高校を提出し、共通試験や内申点の結果に基づいて、最も高い志望校に自動的に割り当てられる仕組みである。
現行制度の課題
現在、多くの都道府県で採用されている単願制では、受験生は一つの公立高校しか受験できない。このため、経済的な理由から私立高校への進学が難しい家庭の生徒は、不合格のリスクを避けるために、志望度の高い難関校への挑戦を断念するケースが指摘されている。また、塾に通っていない生徒は受験情報が不足し、自身の合格可能性を正確に把握できないという問題もある。
デジタル併願制の仕組み
デジタル併願制では、受験生が複数の高校に志望順位を付けて提出し、共通試験や内申点の結果に基づいて、最も高い志望校に自動的に割り当てられる。この仕組みは、米国ニューヨーク市の高校入試や日本の保育所入園調整で活用されている「受入保留アルゴリズム(Deferred Acceptance)」を基にしている。このアルゴリズムは、受験生が正直に志望順位を提出することが最も得策であるとされ、複雑な読み合いを避けることができる。
制度導入の背景と狙い
政府は、2024年度から公立高校の授業料を無償化し、2025年度からは私立高校も実質無償化する方針を示している。これにより、施設やカリキュラムが充実した私立高校への志望者が増加することが予想される。公立高校の魅力を高め、受験の選択肢を広げることで、公立高校離れを防ぐ狙いがある。
制度導入に向けた課題
デジタル併願制の導入には、以下のような課題が指摘されている。
- システム開発と運用:受入保留アルゴリズムを実装するためのシステム開発が必要であり、各都道府県の教育委員会との連携が求められる。
- 独自入試の対応:一部の進学校では独自の入試問題を採用しており、共通試験との整合性を図る必要がある。
- 地域間の格差:都市部の人気校に志望者が集中し、地方の高校が定員割れを起こす可能性がある。これにより、地域の教育機会の均等が損なわれる懸念がある。
今後の展望
政府は、文部科学省やデジタル庁と連携し、意欲のある自治体での試行実施を経て、全国への展開を目指す方針である。また、教育関係者や専門家の意見を取り入れながら、制度設計の詳細を詰めていく予定である。デジタル併願制の導入は、公立高校入試の公平性と効率性を高めるとともに、教育の多様性と地域性を尊重した制度改革が求められる。
- 石破首相が公立高校入試の単願制見直しを指示。
- 受験生が複数の高校を志望できる「デジタル併願制」を検討。
- 受入保留アルゴリズムを活用し、志望順位と試験結果に基づいて自動的に割り当て。
- 経済的理由で難関校への挑戦を断念する生徒の機会拡大を狙う。
- 私立高校の無償化に伴う公立高校離れを防ぐ目的も。
- システム開発、独自入試の対応、地域間格差などの課題が存在。
- 政府は試行実施を経て、全国展開を目指す方針。
公立高校入試制度の改革は、受験生の公平な機会提供と教育の多様性を確保するための重要な一歩である。今後の制度設計と導入プロセスに注目が集まる。