2025-04-20 コメント投稿する ▼
石破首相「為替協議は公平に」 トランプ政権の圧力に冷静対応、エネルギー協力にも前向き姿勢
石破首相、「公平な為替協議を」 トランプ政権の圧力に冷静対応
日本政府は、トランプ政権が通貨政策や貿易をめぐって強硬な姿勢を見せるなかでも、冷静な対応を貫こうとしている。石破茂首相は21日、NHKの討論番組に出演し、米国との為替協議に臨むにあたって「公平さ」が何より重要だとの考えを示した。
石破氏は、「為替の問題は我々にとっても非常に繊細なテーマだ。相互に納得できる公平な枠組みが必要だ」と語り、米側の一方的な主張をそのまま受け入れるわけにはいかないとの姿勢をにじませた。
通貨安批判に冷静な姿勢
トランプ大統領は、日米の貿易不均衡を問題視し、「日本が意図的に円安を誘導して輸出を有利にしている」との批判を繰り返している。これに対し日本政府は、為替市場への介入は昨年以降行っておらず、市場の動きに任せていると反論している。
石破首相は為替政策についての具体的な発言は避けたが、「加藤財務大臣とベッセント米財務長官の間で、専門的かつ建設的な議論がなされるべきだ」と語り、協議はあくまで実務レベルで行うべきだという姿勢を示した。
エネルギー輸入や自動車問題にも柔軟姿勢
石破氏は、アメリカとの経済関係のなかで、エネルギー分野での協力をさらに広げる可能性にも触れた。液化天然ガス(LNG)の輸入について、「現在、最大の供給国はオーストラリアだが、アメリカも4位につけている。もっと増える余地はある」と述べ、供給の安定性さえ確保されれば、輸入拡大も視野にあると語った。
また、米国が「日本の自動車市場には非関税障壁がある」と長年主張している点についても、石破氏は「日米で交通ルールや安全基準が違うことは事実だが、不公平だと思われないように見直す余地がある」と話し、安全規制の一部緩和も検討課題とした。
「米国債は交渉材料にしない」強調
一部の識者からは、「日本が世界最大の米国債保有国であることを交渉カードに使うべきではないか」との声もあるが、政府はその考えを否定している。
石破首相も、「我が国が米国債を保有しているのは、信頼と世界経済の安定のためだ」と強調し、政治的な取引材料として使う考えはないことを改めて明言した。
G20での協議に注目集まる
加藤勝信財務大臣は今週、米ワシントンを訪れ、国際通貨基金(IMF)の春季総会と20カ国・地域(G20)財務大臣会合に出席する。ベッセント財務長官との二国間協議も予定されており、通貨政策や貿易摩擦についての突っ込んだ意見交換が行われるとみられる。
石破政権は、米国との対話を重ねる一方で、「過度な譲歩はせず、日本の利益を守る」との立場を崩していない。今後の協議が、日米経済関係にどのような影響を与えるのか、国内外から注目が集まっている。