2025-04-18 コメント投稿する ▼
市街地でもクマ駆除に猟銃使用可能に 鳥獣保護管理法が改正・成立
市街地でもクマの銃猟が可能に 鳥獣保護管理法の改正案が成立
人里にクマが出没するケースが後を絶たない中、ついに法律が動いた。4月18日、参議院本会議で改正鳥獣保護管理法が可決・成立し、市街地でも条件付きでクマやイノシシに猟銃を使えるようになった。政府は、秋の出没シーズン本格化を前に、早期の施行を目指している。
人身被害、過去最多の現実
今回の法改正の背景には、深刻化するクマによる被害の増加がある。環境省のまとめでは、2023年度に全国で報告されたクマによる人身被害は198件。これは統計開始以来、最も多い数字だ。
住宅地や学校の近くにまでクマが出没し、「誰かが襲われる前にどうにかしてほしい」という住民の声が高まっていた。だが、これまでの法律では、住宅密集地などの市街地で猟銃を使うことは基本的に禁止されており、緊急時でも発砲には警察の許可が必要だった。
どう変わる?改正法の中身
改正法では、ヒグマ、ツキノワグマ、イノシシが「危険鳥獣」に指定された。これにより、市街地に現れて人命に危険を及ぼすと判断された場合、市町村長の判断で「緊急銃猟」が実施できるようになる。
もちろん、安全対策は欠かせない。銃を使う際には、地域住民への避難指示や通行制限を行うことが前提となる。また、猟の際に民家や店舗などに損害が出た場合に備え、補償制度も整備される。
ハンター任せではない
現場で対応にあたる猟友会や有害鳥獣駆除のハンターたちは、「銃を撃った責任を個人に押し付けられるのでは」と不安を口にしていた。これに対して、環境省は「責任は市町村にあり、個人が負うことはない」と明言している。
ただ、もうひとつの問題は人手不足。ハンターの高齢化が進み、地域によっては実際に動ける人が少ない。今後は、若手の担い手育成や訓練体制の強化も避けては通れない。
クマと人、共存に向けた現実的な一歩
法改正は、ただ銃猟を認めるためのものではない。住民の安全を守ると同時に、クマとの共生という課題にも向き合っていく契機といえる。環境省は、今後もクマ類の保護と管理に関する議論を続ける考えだ。
クマの出没が増える秋を前に、自治体の備えと現場の対応力が問われる。自然と人の暮らしの境界が曖昧になる今、法の整備だけでなく、地域全体での防除体制づくりが急務だ。
- 4月18日、改正鳥獣保護管理法が成立。
- 市街地でのクマ・イノシシに対する銃猟が可能に。
- 市町村長の判断で「緊急銃猟」を実施できる。
- 銃猟時の避難指示・通行規制、損害補償制度も整備。
- 猟友会の責任は個人ではなく市町村が負担。
- ハンター不足への対策が今後の課題。
- クマの出没が増える秋に向け、早期施行を目指す。