2025-04-17 コメント投稿する ▼
円安直撃で日本のODA実績が14%減 GNI比も後退し国際支援に影響懸念
円安が直撃、日本のODA実績が大幅減 GNI比でも後退
外務省は4月17日、経済協力開発機構(OECD)の発表を受けて、日本の2024年の政府開発援助(ODA)の実績が167億7,000万ドルとなり、前年から14.4%減少したと明らかにした。円換算ではおよそ2兆5,400億円で、こちらも7.8%の減少となっている。
背景には、急激に進んだ円安がある。2024年の平均為替レートは1ドル=151円台と、前年よりも大幅に円安が進んだため、円で見ればほぼ横ばいでも、ドルに換算すると金額が目減りして見える構造だ。外務省も「円安の影響が大きい」と説明している。
日本の順位は第4位に後退
OECDの開発援助委員会(DAC)に加盟する32か国のうち、日本はODAの規模でアメリカ、ドイツ、イギリスに次ぐ4番目だった。2023年はイギリスを上回り3位だったが、今回は逆転されたかたちとなる。
一方で、国民総所得(GNI)に対するODAの割合、いわゆる“GNI比”は0.39%と、前年の0.44%から縮小。DAC加盟国の中での順位も13位に後退した。国連が掲げる「ODAをGNIの0.7%まで引き上げる」という目標には、いまだ遠い水準にとどまっている。
世界全体でもODA減
日本だけでなく、世界的にもODAの流れには陰りが見える。OECDによると、DAC加盟国全体のODA総額は2,121億ドルで、前年度の2,237億ドルから約5%減少した。背景には、ウクライナ支援への資金縮小や、各国の難民支援予算の削減などがある。
特に、日本のODAの一部を占める国際機関への拠出金が減っている点が、額の目減りに影響しているとみられる。
ODAの量と質、両面での再検討を
日本はこれまでもアジアを中心にインフラ整備や防災支援、人材育成などを通じて、存在感のある援助を続けてきた。ただ、今回の実績減少により、その存在感にもやや陰りが出ている。今後は単なる金額の増減だけでなく、「質の高い援助」への転換や、インパクトのあるプロジェクト選定も求められそうだ。
また、円安が長期化する可能性を見据え、援助額の算出や予算計画のあり方そのものを見直す動きも必要になってくるだろう。
- 日本のODA実績はドル建てで14.4%減の167億ドル、円建てでも7.8%減。
- 順位は世界4位、GNI比0.39%で13位に後退。
- 円安が実績減の主因。為替レートは前年から約11円の円安に。
- 世界的にもODA額が減少傾向。ウクライナ支援縮小や難民支援予算の見直しが影響。
- 今後は「質」と「戦略性」のあるODAが重要視される。