2025-04-17 コメント投稿する ▼
米国支援停止の穴埋めへ 日本、UNHCRに66億円拠出 補正予算で国際人道支援を継続
この追加拠出は、サハラ以南アフリカやヨーロッパ、中東・北アフリカ、アジア太平洋、アメリカ大陸など、計25カ国での支援活動に活用される。UNHCRによれば、地域ごとの支援内訳は次の通り:
- サハラ以南アフリカ:約1,590万ドル
- ヨーロッパ:約1,735万ドル
- 中東・北アフリカ:約350万ドル
- アジア太平洋:約666万ドル
- アメリカ大陸:約360万ドル
また、この支援で強化される分野は、医療、水・衛生(WASH)、食料の安全保障、ジェンダーに基づく暴力の防止、母子保健、教育など。特にアフリカ14カ国では、UNHCRの現地活動がさらに広がると見られている。
米国の援助停止で生じた「支援の空白」
今回の動きの背景には、米バイデン政権による支援凍結がある。今年1月に出された大統領令14169号により、全ての対外援助が90日間停止され、UNHCRも例外ではなかった。その影響は深刻で、世界中で約3億ドル分の活動が凍結され、600人以上のスタッフが職を失う事態に。支援が途絶えた現場では、水や医療など必要最低限のサービスすら行き届かない状態に陥っていた。
こうした事態を受け、日本をはじめとする他のドナー国がその穴を埋める形で動き出している。日本政府も、既に2024年には1億1,857万ドルをUNHCRに拠出しており、今回の追加支援はその延長線上にある。
現場との連携強化も
3月18日には、スイス・ジュネーブを訪れた赤堀毅外務審議官がUNHCRのケリー・クレメンツ副高等弁務官と会談。赤堀氏は「深刻化する人道状況の中で奮闘しているUNHCR職員に深く敬意を表す」と述べ、日本として引き続き支援を強化していく姿勢を伝えたという。
補正予算を活用した日本の人道支援
UNHCRへの資金拠出に加え、日本政府は他の人道支援にも補正予算を活用。ウガンダには6,600万ドル(約25億円)を支援し、食料・医療支援や気候変動対策を後押ししている。また、国際移住機関(IOM)にも5,500万ドルを拠出し、33カ国で移民や避難民の生活支援を進めている。
- 日本政府はUNHCRに66億円超を追加支援
- USAID支援停止によりUNHCRは予算40%を失う危機に直面
- 今回の拠出で25カ国の支援活動が継続可能に
- 医療・衛生・教育・生計支援など現場ニーズに即した支援内容
- ジュネーブでの政府要人会談により協力体制も確認
国際社会の支援が揺らぐ中、日本がいかに人道支援の「安定的な後ろ盾」となれるかが問われている。今回の補正予算を通じた取り組みは、今後の外交戦略や国際的な信頼構築にも直結するだろう。