2025-04-13 コメント投稿する ▼
「5万円給付」に与党もNO 石破政権が避け続ける“消費税減税”の壁
物価高と関税ショックに揺れる日本経済
世界経済が不安定さを増す中、日本経済も大きな波にさらされている。トランプ米大統領は中国に対し、最大145%の高関税を課す姿勢を崩さず、中国も報復として125%の追加関税を発動。貿易戦争は激化の一途だ。
この影響で東京市場も荒れ模様となり、円相場は一時1ドル=142円台と、半年ぶりの円高水準に。国内でも物価上昇が止まらず、4月だけで4000品目以上の食品が値上げされた。コメの価格も13週連続で上昇し、平均価格は5キロ4206円に達した。
一方で、労働者の懐事情は厳しい。実質賃金は2月時点で前年比1.2%減。賃上げが話題になった昨年も、物価上昇に追いつかず、2024年の年間実質賃金は3年連続のマイナスとなった。
石破政権の「5万円給付案」に与党も不満
こうした情勢を受けて、石破政権が検討しているのが「全国民への5万円給付」だ。すでに今年度補正予算での財源確保も視野に入れて調整が進んでいる。しかし、この案に対しては与党内からも疑問の声が上がっている。
自民党の松山政司参院幹事長は「給付も減税も排除せず、国民生活に寄り添うべき」と述べ、柔軟な対応を求めた。さらに公明党の斉藤鉄夫代表は「一番効果的なのは減税だ。給付よりも家計や企業に直接的な負担軽減になる」と強調している。
とはいえ、消費税減税には法律改正が必要で、時間がかかるのも事実だ。そのため、公明党は現金給付も否定せず、併せて時限的な減税を視野に入れているとみられる。
給付金は「効果薄」、財政コストばかりが膨張
こうした給付金政策には、過去の実績からも懸念がつきまとう。コロナ禍で行われた特別定額給付金や持続化給付金など、総額約28兆円の支出が行われたが、その一方で約6756億円の事務費が発生。不正受給も相次ぎ、24億円以上が詐取された。
岸田政権時代に実施された「1人あたり4万円減税(実質給付)」も、政策コストは5.5兆円に達しながら、経済への波及効果は乏しかったとの見方が多い。今回の5万円給付案も事業規模は6兆円を超え、文部科学省の年間予算を上回る。効果が不透明なまま進めれば、国民の不信感を増すだけだ。
政権の姿勢が問われる、減税への一歩踏み出せるか
トランプ政権との関税交渉では、石破首相の指示で赤沢亮正経済再生担当相が米国に派遣される予定だが、交渉経験に乏しいこともあり、党内では「荷が重すぎる」との声もある。
国民民主党の玉木雄一郎代表は、消費税5%への一律引き下げを訴え、若年層向けの所得税減税法案も提出した。立憲民主党も、食料品にかかる消費税をゼロにすべきとの意見をまとめている。
従来型の政策は限界、構造改革こそ必要
この国難に直面し、いま求められるのは抜本的な構造改革だ。食料品の消費税率をゼロ、その他は時限的に5%へ。暫定ガソリン税の撤廃や、備蓄米の継続放出、農家への直接支援も含めた農政の見直しが急がれる。
財源確保には、防衛費の見直しや、高齢者医療費の自己負担割合引き上げ、市販薬と同等の処方薬の給付除外など、社会保障改革も避けて通れない。これらを通じて浮いた財源を、医療・介護従事者の待遇改善に振り向けるべきだ。
石破政権が、バラマキによる選挙対策ではなく、真に生活を支える持続的な政策へと舵を切れるのか。その決断が、日本の未来を大きく左右することになる。