2025-04-11 コメント: 2件 ▼
日本、ナイジェリアに47億円支援 スタートアップ育成と施設整備で経済多角化を後押し
この支援は、外務省が進める「民間資金動員促進型無償資金協力」の第一号案件として行われるもので、現地経済の多角化や若者の起業を後押しする狙いがある。首都アブジャでは11日、在ナイジェリア日本大使館と同国政府の間で正式な署名・交換が行われた。
二つの柱 スタートアップ環境と支援施設整備
支援は二つに分かれている。一つ目は、社会課題の解決に挑むスタートアップ企業の成長を促すための「投資環境整備」に関するもので、約31億円が投じられる。
この計画では、ナイジェリア政府が設立するオンショアファンドに対して日本が資金を提供する。現地通貨での投資が可能になることで、創業初期の企業にも安定した資金が届くことを目指す。また、ファンド運営のノウハウ強化や制度整備、日系企業や大学などとの連携も視野に入れ、長期的な成長基盤づくりを支える。
二つ目は、首都アブジャに新たにスタートアップ支援施設を建設する計画で、こちらには約16億円が充てられる。施設には3Dプリンタやデジタル工作機材などが備えられ、製造業系スタートアップを中心とした支援が想定されている。施設を拠点に官民や大学、投資家がつながりを深め、イノベーションの拠点として機能させる。
若者と社会課題への投資
ナイジェリアでは失業率の高さや教育・医療インフラの不足など、さまざまな社会課題が山積している。一方で、そうした課題をビジネスの力で解決しようとする若い起業家たちも増えている。だが、資金調達は依然として困難であり、特に国内資金の供給は不安定だ。
今回の支援は、そうした現地の若手企業家たちを後押しするもので、最大で90〜120社への投資が見込まれている。将来的には日本企業との協業も期待されており、経済協力を通じた国際的な関係強化にもつながる。
TICADでの約束、形に
今回の取り組みは、日本政府が2022年に開催された「TICAD8(アフリカ開発会議)」で表明した支援方針を具体化したものでもある。アフリカの社会課題に取り組む企業への支援を掲げた日本が、その第一歩としてナイジェリアに資金を投じる格好だ。
日本政府は今後も、アフリカとの協力を深めながら、持続可能な成長と社会課題解決に向けた支援を続けていく方針だ。ナイジェリア支援はその象徴的な一例となりそうだ。