2025-04-09 コメント投稿する ▼
米・USAIDの支援縮小で揺れる国際援助 日本、WFP通じバングラデシュに5億円
バングラデシュでの支援の背景
今回の支援は、今年2月27日、首都ダッカで正式に発表された。日本の特命全権大使とWFPバングラデシュ事務所の代表が書簡に署名し、「サイクロン及び洪水で被災したコミュニティのためのインフラ復旧計画」として実施される。
式典に出席した日本の大使は、「今回のプロジェクトで、最も深刻な被害を受けた地域のインフラが一日も早く復旧することを願っています。これは人命を守り、地域社会の再建を後押しする重要な一歩です」と述べた。加えて、「日本はWFPなど国際機関と連携しながら、持続可能な食料支援を目指して引き続き取り組んでいく」とも語っている。
USAID支援打ち切りがもたらした影響
この日本の支援の背景には、米国の支援削減という国際的な事情がある。1月、バイデン政権は90日間にわたり対外援助を停止すると発表。これによりUSAIDが行っていたWFPへの資金供与も一時中断され、世界中の支援現場で深刻な資金不足が起きている。
とりわけバングラデシュでは、ミャンマーから逃れてきたロヒンギャ難民への食料支援が大幅に削減されており、1人あたりの月額配給は12.50ドルから6ドルにまで落ち込んだ。難民キャンプでは、日々の食事にすら困る家庭も増えており、WFP幹部は「このままでは命に関わる」と警鐘を鳴らしている。
国際社会の連携が問われる時
こうした状況を受けて、日本の5億円拠出は、極めてタイムリーな動きとなった。今回の支援は、すぐに配布される食料だけでなく、農地や水路などの再建にも使われる予定だ。つまり、目の前の危機に対処すると同時に、将来的な自立も支える仕組みになっている。
ただ、WFPの資金難は解決からは程遠い。国連のグテーレス事務総長はロヒンギャ難民への支援削減について、「見過ごせない犯罪に等しい」と強く非難し、国際社会に向けて追加支援を呼びかけている。
石破政権の姿勢と今後の課題
日本がこうした支援に踏み切った背景には、石破政権が重視する「現場主義」と「国際貢献」の姿勢がある。日本政府関係者は、「単なる人道支援にとどまらず、地域の安定は日本の安全保障にもつながる」として、今後も継続的な関与を模索している。
一方で、国際的な支援疲れや各国の内政優先の流れもあり、こうした多国間の人道支援を維持していくのは容易ではない。日本がリーダーシップを発揮し続けられるかどうかが、問われている。
- 日本政府はWFPに5億円を拠出し、バングラデシュの食料安全保障を支援。
- バングラデシュではサイクロンや洪水の被災地のインフラ再建が急務。
- 米国USAIDの支援削減で、WFPは深刻な資金難に直面。
- 特にロヒンギャ難民の食料支援が削減され、飢餓の危機が拡大。