2025-04-08 コメント投稿する ▼
日本政府、トルコに人道支援 女性の職業訓練や障がい者支援に43万ドル
支援の契約締結にあたり、トルコにある日本大使館では式典が行われ、田原大使臨時代理が「この支援が、地域の皆さんの生活をより豊かにするきっかけになることを願っています」と述べた。また、式典に出席したトルコ・日本友好議員連盟の会長ムスタファ・フルキ・ジェヴィズオール氏は「日本とトルコの友情は、遠く離れた距離を超えて築かれてきました。今回のプロジェクトが、地域の協力関係をさらに深めることを期待しています」と話した。
支援の主な内容
今回の支援では、以下の5つのプロジェクトが採択された。
- アフラット郡女性職業訓練機材整備(約11.6万ドル)
女性の自立支援を目的に、洋裁などの技術を学ぶための訓練機材(各種ミシンなど38台)を整備。地元の社会支援団体が実施する。
- イスキリップ郡 高齢者・障がい者搬送車両整備(約6.9万ドル)
医療機関へのアクセスが困難な高齢者や障がい者のために、郊外地域での移動手段となる搬送車両1台を提供。
- ギレスン市 捜索救助用車両整備(約11.3万ドル)
地震や水害などの災害時に活用される救助車両を整備。災害対応力の強化につなげる。
- スッチュレル市 高齢者・障がい者搬送車両整備(約7.1万ドル)
同様に、歩行が難しい住民の生活支援として、専用車両を整備する。
- アヴァノス郡 アカルジャ小中学校校舎改修(約6.6万ドル)
老朽化が進んだ学校の建物を修繕し、児童・生徒が安心して学べる環境を整える。
クルド人問題との関連
日本国内でも議論が続いているクルド人問題との関わりについても触れておきたい。トルコ国内では長年にわたりクルド人との対立が続いており、一部のクルド人が日本に観光ビザなどで入国後、難民申請を行うケースが増加している。
日本とトルコは1956年から観光ビザ免除の取り決めを結んでいるが、この制度を悪用する形での入国が一部で問題視されている。特に、政治的弾圧を逃れて日本に保護を求めるクルド人の存在が注目されており、法務省などではビザの取り扱いの見直しも検討され始めているという。
一方で、トルコ政府は現時点で自国民の海外渡航に特別な制限は設けておらず、クルド人が日本を訪れることについても制限を加えていないのが実情だ。
外交と人道支援のバランス
こうした背景を踏まえると、日本政府の今回の支援は、単なるインフラ整備という枠を超えて、トルコ国内の社会的安定への貢献という意味合いも持つ。特に、女性や障がい者といった社会的に弱い立場にある人々への支援は、日本外交が重視する「人間の安全保障」理念の具体的な表れといえる。
トルコ国内には依然として民族・宗教・地域格差といった多くの課題が横たわっている。日本がこうした支援を通じてトルコとの信頼関係を深めることは、中東地域の安定にも一定の役割を果たすとみられている。