2025-04-04 コメント投稿する ▼
観光庁、全国45地域に多言語案内整備 6億円の予算で英・中・韓に対応
観光庁が進めるのは「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」。全国各地にある文化財や国立公園といった観光スポットに、英語を中心とした解説文を整備し、地域の魅力を外国人旅行者にわかりやすく伝えるのが目的だ。
45地域が採択 文化財から自然まで幅広く
今年度(令和7年度)の対象地域として、新たに45の地域が採択された。内容は以下の通り。
- 文化財に関する取り組み:29地域(例:NPOジョーモネスクジャパン、こんぴら文化観光推進協議会、五島観光魅力向上推進協議会)
- 自然分野での取り組み:5地域(例:北海道新ひだか町、沖縄県国頭村役場)
- 観光一般に関する取り組み:10地域(例:宮城県登米市、せとうちエリア多言語解説協議会)
これらの地域では、英語を基本とした解説文を作成し、希望があればその内容を中国語や韓国語にも翻訳する予定だ。翻訳作業も同じ年度内に行われる見込みだという。
“英語だけでは伝わらない” 多言語化で地域の魅力発信へ
観光庁によれば、「訪日外国人の旅行体験をより豊かにするには、情報の言語的バリアをなくすことが不可欠」とのこと。これまで日本語しか表示がなかった場所でも、英語をはじめとする多言語に対応することで、旅行者の理解と満足度の向上を図る狙いがある。
特に地方では、せっかくの観光資源が言語の壁によって十分に活用されていないという声も多かった。今回の事業は、そうした地域へのテコ入れという意味合いも強い。
なぜ今、6億円? “観光立国”再始動の背景
コロナ禍を経て訪日外国人の数は急回復しており、政府は「2030年に訪日旅行者6,000万人」という目標を掲げている。観光を国の成長戦略の柱に位置づけ、インバウンド消費による地域経済の活性化を狙っているのが背景だ。
ただし、今回の取り組みには税金が投入されるため、「その効果や費用対効果はどうなのか」といった議論も出てきそうだ。実際に多言語化された解説が旅行者の満足度や訪問数にどう結びつくのか、今後の検証が求められる。