2025-04-01 コメント投稿する ▼
外国人の農地取得要件を厳格化 短期在留者には取得制限
■ 農水省が農地法施行規則を改正
今回の方針に基づき、農林水産省は農地法施行規則を改正し、各地の農業委員会に通知する。農地の取得には、原則として「年間150日以上農業に従事すること」が求められており、農業委員会が申請を審査している。
政府は2023年9月、外国人や外国資本の関与する法人が農地を取得する際、国籍の報告を義務化し、個人の場合は在留資格の記載も求めるように制度を見直した。しかし、これまでは在留資格の「残り期間」は確認されていなかった。このため、取得後すぐに在留資格を失い、農業を継続できなくなるケースが懸念されていた。今回の改正では、この点を厳格化し、農業の継続が難しい短期在留者には農地の取得を認めない方針を明確にした。
■ 背景には食料安全保障と農地の適正管理
この制度変更の背景には、近年の食料を巡る環境の変化がある。日本ではコメの生産量が減少し、一部の地域では価格が高騰するなど、食料供給の安定が課題となっている。また、農地の放棄や目的外利用が増えることで、限られた農地の有効活用が難しくなっている。
特に、外国人や外国企業による農地取得が増える中、耕作放棄や転売、事実上の不動産投資などのリスクが指摘されていた。与党内からも「日本の農地が食料生産以外の目的で使われる可能性がある」との懸念の声が上がっており、政府はこうした問題を未然に防ぐため、実態調査を進めながら制度の厳格化を図る考えだ。
■ 今後の影響と課題
今回の改正により、農地の適正な利用が確保されることが期待される。一方で、外国人投資家や海外の農業法人にとっては、日本の農業分野への参入ハードルが上がる可能性がある。農業の人手不足が深刻化する中、外国人労働者や外国資本を活用して農業を活性化させるという視点もあるため、厳格化が農業の発展にどのような影響を与えるかは今後の議論の焦点となりそうだ。
政府は引き続き、農地の管理と食料供給の安定を目指しながら、必要に応じて制度の見直しも検討していく方針だ。