2025-03-18 コメント投稿する ▼
中国、日中共同声明の解釈に猛反発 台湾交流巡り日本に圧力
地方議員の台湾交流に対する圧力
この問題の発端は、浜田聡参院議員(NHKから国民を守る党)が提出した質問主意書だった。浜田議員は、地方自治体や地方議員が日中共同声明に基づき「中国の立場を十分理解し、尊重する」義務を負うのかどうかを政府に問うた。
政府は11日の閣議で、「日中共同声明は法的拘束力を持たない」とする答弁書を決定。これは、2024年5月の台湾総統就任式をめぐり、中国の薛剣駐大阪総領事が日本の国会議員や地方自治体関係者に対し、出席しないよう求めた件を踏まえたものだった。
浜田議員は、「外国の外交官が日本の地方自治体や議員に台湾との交流をやめるよう要請することを、日本政府は認めるのか」と政府の立場を問いただした形だ。
小泉内閣も同様の立場
実は、今回の閣議決定と同様の見解は過去にも示されている。2006年3月、小泉純一郎内閣も「日中共同声明は法的拘束力を持たない」とする答弁書を閣議決定していた。
中国の強い反発
毛報道局長は会見で、「台湾問題の歴史的事実を曖昧にしようとする試みは、日本国民を誤解させ、日中関係の政治的基礎を揺るがし、『台湾独立』勢力に誤ったメッセージを送る。断固反対する」と述べ、日本政府に対し「『一つの中国』原則を実際の行動で示すよう強く求める」と語った。
日中共同声明の立ち位置
1972年に発表された日中共同声明は、国交正常化の基礎となる重要な文書だ。声明の中で中国は「台湾は領土の不可分の一部」と表明し、日本は「この立場を十分理解し、尊重する」と明記している。
ただ、日本政府はこれを条約とは位置づけておらず、政治的合意文書と解釈している。そのため、「地方自治体や議員の活動を拘束するものではない」との立場を維持している。
地方自治体と台湾の交流
日本の地方自治体や議員はこれまで、経済・文化・教育など幅広い分野で台湾との交流を続けてきた。相互訪問や共同プロジェクトも盛んで、地域レベルでの友好関係の強化に寄与している。
しかし、中国政府は「一つの中国」原則を掲げ、台湾との公式な交流を認めない姿勢を貫いている。そのため、日本の地方自治体や議員が台湾と関わるたびに、中国からの圧力がかかるケースも少なくない。
今後の展望
日本政府は、引き続き「日中共同声明は法的拘束力を持たない」との立場を取るとみられる。一方で、中国側は日本の対台湾交流を警戒し、反発を強める可能性がある。
今後、日本の地方自治体や議員が台湾との関係を深める際、中国の対応を慎重に見極めながら進める必要があるだろう。同時に、政府間の対話を通じ、双方が納得できる外交のあり方を模索していくことが求められる。