2025-10-15 コメント投稿する ▼
自民党政権が医療インバウンド支援を検討 外国人患者受入に500万円支援案も
自民党政権が、外国人患者を受け入れる「日本型医療インバウンド」制度の構築を検討していることが明らかになった。 厚生労働省は、諸外国における医療インバウンド制度や法整備を調査し、それを踏まえて「日本型医療インバウンド」の在り方を定義・検証する方針だとしている。 自民党政権が進める「医療・介護の国際展開」は、表向きは成長政策だが、国民医療の公平性とのバランスが問われる。
政府が医療インバウンド支援を検討 外国人患者受入に最大500万円
自民党政権が、外国人患者を受け入れる「日本型医療インバウンド」制度の構築を検討していることが明らかになった。厚生労働省は、医療・介護分野の国際展開を推進する一環として、医療機関を対象に実証的な支援事業を行う方向で検討を進めている。案によれば、選定された医療機関に対し、1施設あたり500万円規模の資金提供や伴走支援を行う構想が浮上している。
「海外活力の取り込み」を掲げる狙い
政府関係者によると、この構想は「海外活力の取り込みによる成長戦略」を掲げた自民党政権の産業政策の一環だ。海外富裕層や中東・アジアの医療ツーリズム需要を日本の医療機関に呼び込み、国内の医療・介護産業を輸出型産業として成長させる狙いがある。厚生労働省は、諸外国における医療インバウンド制度や法整備を調査し、それを踏まえて「日本型医療インバウンド」の在り方を定義・検証する方針だとしている。
地域医療への影響に懸念
一方で、政府自身も「医療従事者の地域偏在」や「地方の人手不足」に配慮が必要だとしており、制度設計には慎重論が出ている。医療インバウンドの受入には、外国語対応スタッフ、専用通訳、国際診療のノウハウなどが求められる。これらを整備するには多額のコストが発生し、地方の中小医療機関では負担が大きい。支援額が500万円程度では十分な体制構築は難しく、都市部の大規模病院に資金が集中する懸念もある。
また、外国人患者の中には医療費未払いの事例もあり、過去には医療機関が損失を抱えたケースも報告されている。未収金問題への対策が明確でないまま制度を導入すれば、経営を圧迫しかねない。こうした実務上の課題に対し、厚労省内では「支援先の地域偏在を避ける仕組み」「外国人患者の事前保険加入義務化」などの検討が行われているという。
国民医療と“利益誘導型政策”の境界
自民党政権が進める「医療・介護の国際展開」は、表向きは成長政策だが、国民医療の公平性とのバランスが問われる。医療は本来、国民の健康を守る公共財である。そこに外国人患者を優先的に受け入れる構造をつくれば、国民の診療機会が圧迫されるおそれがある。
しかも、今回の500万円支援は「調査・実証事業」という名目であり、恒久的な制度ではない。だが、補助金が一度動けば、特定医療機関や関連団体に利益が偏る構造が生まれる。政府が“医療の産業化”を急ぐあまり、国民医療の質と平等性を軽視すれば、本末転倒だ。
検証と説明責任が不可欠
この政策はまだ検討段階にある。しかし、検討段階だからこそ、国民には内容の透明性が必要だ。支援対象の選定基準、補助金の使途制限、成果指標、返還ルールなどが明確でなければ、不透明な「バラマキ政策」との批判を免れない。
医療の現場からは「医療従事者が足りない中で外国人対応まで求められるのは負担」「国民への減税が先ではないか」という声も出ている。医療を国際収益化の道具にするのではなく、まず国内医療体制の再構築を優先すべきだ。自民党政権は、国民の理解を得られるだけの明確な説明責任を果たす必要がある。