2025-10-10 コメント投稿する ▼
経営・管理資格の悪用問題—中国籍取得者最多、要件緩和の影響とは
16日に施行される法務省の改正省令により、外国人の在留資格「経営・管理」が厳格化されます。 この資格はもともと、日本国内の経済成長を促進するために外国人の起業家を受け入れる目的で創設されましたが、実際には、経営者として働く気がない外国人による移住目的で悪用されてきました。
「経営・管理」資格の問題点—中国籍の取得者最多、悪用の実態
経営・管理資格の不正利用
16日に施行される法務省の改正省令により、外国人の在留資格「経営・管理」が厳格化されます。この資格は日本に起業し、経営者として活動する外国人に与えられるものですが、過去に悪用される例が多発しています。特に、中国籍の取得者が最多で、ペーパーカンパニーを設立したり、第三者に経営を委ねたりするなど、実態が伴わない企業の存在が指摘されています。
この資格はもともと、日本国内の経済成長を促進するために外国人の起業家を受け入れる目的で創設されましたが、実際には、経営者として働く気がない外国人による移住目的で悪用されてきました。特に中国からの申請者が多く、要件が甘いことが問題視されています。
実態調査と問題事例
今年8月、東京出入国在留管理局は、中国人女性が経営する不動産仲介業の実態調査を行いました。女性は「帳簿も社員名簿もどこにあるかわからない」と答え、会社の売上や経営状況を把握していないことが明らかになりました。実際、女性は1年のほとんどを海外で過ごしており、経営に関してはほとんど関与していなかったという。これは、経営・管理資格の趣旨に反する行為であり、入管側はこのケースを不審と判断しました。
また、出入国在留管理庁が令和5年9月から6年12月にかけて調査した約300件の不審な更新申請のうち、約9割で実体がない企業や経営者が確認されました。
外国と比較して甘い要件
現行の「経営・管理」の資格要件は、資本金500万円以上、または常勤職員2人以上の雇用という非常に緩い基準で、これが他国と比較しても甘いとされています。例えば、韓国では資本金が約3200万円、アメリカでは1500万~3000万円以上が必要です。しかし日本の要件は、制度創設から20年以上変わっておらず、外国人起業家にとって非常に低いハードルとなっていました。
この緩さが悪用を招き、特に経済成長を遂げた中国からの移住希望者が増加しました。令和6年末時点で、「経営・管理」資格の在留者のうち、中国籍は半数以上の2万1740人に上り、続くネパールや韓国の8倍近い人数です。このため、要件が相対的に甘くなっていたことが指摘されています。
日本の起業環境と今後の課題
日本の起業環境は、経済協力開発機構(OECD)の評価で下位に低迷しており、外国人起業家にとって魅力的な国とは言えません。今回の法改正は、外国人による不正な利用を減らすことが期待されますが、過度な厳格化が起業意欲のある外国人を遠ざける可能性もあります。そのため、要件を厳しくする一方で、日本の起業環境を改善し、外国人の再チャレンジを支援する方策も必要です。
改正省令は厳格化の第一歩ですが、今後は入国後の実態調査を進め、足りない部分や過度に厳しい部分があれば再度の改正を検討する必要があると言えるでしょう。