2025-10-02 コメント: 1件 ▼
自民党、石破茂首相が指示 斎藤隆夫「反軍演説」議事録の全文復活を検討
自民党は1940年の帝国議会で行われた斎藤隆夫・元衆院議員による「反軍演説」について、削除された部分を含む全文を公式議事録に復活させる方向で調整に入りました。 当時の政府と軍部はこの演説を反体制的とみなし、衆議院は約3分の2を議事録から削除しました。 削除された部分を復活させるには、衆議院議長の諮問機関である議会制度協議会の判断が必要です。
議事録復活に向けた自民党の動き
自民党は1940年の帝国議会で行われた斎藤隆夫・元衆院議員による「反軍演説」について、削除された部分を含む全文を公式議事録に復活させる方向で調整に入りました。石破茂=現職総理・自民党総裁=氏は2025年10月1日、党本部で森山裕=自民党幹事長=氏と会談し、与野党間の協議に着手するよう指示しました。石破氏はこれまでも講演などでこの演説の意義に言及し、2018年には兵庫県の斎藤記念館を訪れていました。
反軍演説の内容と削除の経緯
斎藤隆夫氏は1940年2月2日、帝国議会衆議院本会議で約1時間半にわたり、日中戦争の長期化を厳しく批判しました。演説では「国民の生活は疲弊し、財政は破綻寸前である」と述べ、軍部や政府の政策が国民に過度な犠牲を強いていると指摘しました。また「戦争は目的を見失っており、出口の見えないまま続けられている」と警告し、戦争指導の根拠を問い直しました。さらに「議会は国民の代表であり、軍部の追認機関ではない」と強調し、立憲政治の原則を守るべきだと訴えました。
当時の政府と軍部はこの演説を反体制的とみなし、衆議院は約3分の2を議事録から削除しました。さらに、斎藤氏は議員除名処分を受け、国会から排除されました。発言の自由を抑圧するこの処分は、戦時体制下の言論統制を象徴する出来事として記憶されています。
復活への道筋と課題
削除された部分を復活させるには、衆議院議長の諮問機関である議会制度協議会の判断が必要です。協議会は衆院議院運営委員会からの要請を受けて開催され、与野党合意が前提となります。削除部分の復活は国会史上前例がなく、実現すれば極めて異例です。
復活に向けた動きに対し「歴史を正しく残す意義がある」との賛同の声がある一方、「当時の判断を覆すのは議会の権威を揺るがす」との懸念も出ています。記録の完全性と当時の手続きを尊重する立場がぶつかる可能性があります。
「国会が封じた言論を今こそ復元すべきだ」
「削除決定を否定するのは制度軽視につながる」
「演説の全文公開は教育的意義が大きい」
「現代政治に教訓を与える記録だと思う」
「政争で利用されるのではなく中立に扱ってほしい」
現代政治への影響
石破首相の指示は、歴史的に封じられた言論を見直し、国会の透明性を高めようとするものです。演説全文の復活は単なる記録修正ではなく、民主主義の基本である言論の自由を再確認する象徴的意義を持ちます。
ただし、合意形成の困難さは残ります。野党の一部は「歴史教育に資する」として賛同する可能性もありますが、他方で政治的思惑や国会運営との関係から調整が難航する恐れもあります。仮に実現すれば、戦前・戦中の国会が行った抹消の判断を歴史的に検証し直す大きな節目となるでしょう。