2025-09-04 コメント投稿する ▼
日本車関税15%で本当にWin-Winか 石破政権の成果と日本の実利なき譲歩
トランプ大統領が大統領令署名 日本車関税15%に引き下げ
米国のトランプ大統領は4日、日本から輸入される自動車への関税を現行の27・5%から15%に引き下げる大統領令に署名した。官報掲載後7日以内に適用され、8月7日にさかのぼって実施される。日本に対しては「相互関税」の特例措置も明記され、長年懸案だった自動車分野の不均衡是正に道筋がついた。
大統領令では、既存の関税率が15%未満の品目については一律15%に統一、15%以上の品目については現行税率を維持すると定められた。対象となる日本の自動車メーカーにとっては、米市場での価格競争力強化に直結する内容とされるが、そもそも関税そのものが依然として15%課される点は「依然として不当な重税だ」との声も根強い。
対米投資と農産物輸入の拡大
今回の大統領令には経済面でのバランス確保を狙った条項も盛り込まれた。日本による5500億ドル(約80兆円)規模の対米投資に加え、日本が高関税を課す一方で無関税輸入を認めてきた「ミニマムアクセス(最低輸入量)」の枠内で、米国産コメの輸入を75%増やす内容である。これは米国内の農業団体への配慮とみられ、日米双方の産業に譲歩を伴う合意となった。
日本政府は従来から自動車関税の早期引き下げを強く求めてきた。石破茂総理は「日米双方にとってWin-Winの合意を目指す」と強調してきたが、結果として日本の基幹産業が完全に関税ゼロを勝ち取ったわけではなく、農産物分野での譲歩まで迫られた。自動車関税が下がったことを表向きの成果として強調する一方、日本にとってのメリットが十分に見えない点が今後の批判点となりそうだ。
産業界・世論の受け止め
自動車業界からは「負担が軽減された」と歓迎の声が上がる一方で、農業関係者からは米国産コメ輸入拡大に警戒が強まっている。さらに、国民の間では「15%の関税が依然として課されること自体が不当であり、日本側の交渉成果は限定的ではないか」との懐疑的な意見も多い。
ネット上には以下のような声が広がっている。
「ようやく不公平な関税が是正されたが、ゼロにならなければ意味がない」
「米国産コメの輸入増は農家にとって脅威だ」
「80兆円もの投資でこの程度の成果か、疑問だ」
「15%でも“喜ぶ”のはおかしい。依然として高すぎる」
「本当にWin-Winなのか。日本のメリットが見えない」
石破政権下での日米経済関係の行方
石破政権にとって、今回の合意は外交的成果とされる一方、「本当に日本に有利なのか」という疑念も生んでいる。自動車産業には一定の安心感を与えたが、農業分野の譲歩が痛手となり、国益のバランスがどこまで確保されたかは不透明だ。石破総理が繰り返し語った「Win-Win」という言葉とは裏腹に、交渉全体を通じて日本が得られた実利がどこにあるのかが問われている。
外交成果として支持率の押し上げ要因になる一方、国内産業や国民生活への影響が明らかになるにつれ、政権の評価が再び揺れる可能性もある。関税引き下げを「前進」と見るか「不十分」と見るか、国民の受け止め方が今後の政権運営に直結する。