2025-09-03 コメント投稿する ▼
日本政府がEU「ホライズン・ヨーロッパ」に参加交渉 12億円拠出で国際研究協力強化へ
日本、EUの大型研究開発支援プログラムに参加へ
日本政府は、欧州連合(EU)が進める研究開発支援プログラム「ホライズン・ヨーロッパ」への参加に向けて交渉を本格化させた。参加が実現すれば、日本の研究者が資金支援を得ながら研究を推進できるようになり、国際的な研究基盤の強化が期待される。2026年度の概算要求には、拠出金として12億円が計上された。
ホライズン・ヨーロッパは2021年から2027年までの7年間で約16兆円が投じられる世界最大規模の研究開発プログラムであり、気候変動対策や持続可能な開発目標(SDGs)の実現を主要テーマとしている。
「日本の研究者にとっては大きなチャンス」
「世界の最先端と並ぶには欧州との連携は不可欠」
「ただし拠出金12億円の成果を国民に説明すべき」
「国内の基礎研究費が削られないか心配」
「国際協力は良いが、まずは人材育成に注力してほしい」
国際的な研究連携の意義
従来、日本の研究チームは自己資金でホライズン・ヨーロッパの研究に加わることは可能だったが、国として正式に「準参加国」となれば、研究計画の提案や資金獲得が可能となる。韓国やカナダが既に参加しており、日本も同じ立場を得ることになる。
これにより、日本の研究機関は気候変動、エネルギー転換、先端医療、デジタル技術など幅広い分野で欧州の研究者と対等に協力できるようになる。特に気候変動分野では、欧州の再生可能エネルギー研究や都市のカーボンニュートラル計画と連携することで、日本の政策形成にも資する可能性がある。
米国との対比と日本の戦略
トランプ政権期に米国が地球規模課題への関与を縮小し、科学予算削減の方針を打ち出したことが国際社会に不安を与えた。その流れの中で、日本が欧州との連携を強化することは「科学立国」としての存在感を高める手段となる。
石破茂政権も、外交・安全保障だけでなく科学技術分野での国際協力を重視している。国際研究プロジェクトに参加することで、日本の若手研究者が海外のネットワークにアクセスしやすくなることも大きな利点だ。
課題は成果の「見える化」
一方で、拠出金12億円がどのように成果へと結びつくのか、国民に説明責任を果たすことが重要になる。研究開発への投資は短期的には目に見える効果を生みにくく、「海外への資金流出」との批判を避けるには、研究成果を社会や産業界に還元する仕組みを強化する必要がある。
国内の研究環境では、基礎研究費の不足や若手人材の流出が問題視されており、国際協力の推進と並行して国内研究基盤を底上げする政策が不可欠だ。