2025-08-29 コメント投稿する ▼
日印首脳会談 17年ぶり安保宣言改定と10兆円投資 人的交流50万人の課題
日印安保宣言を17年ぶり改定 「次の10年」の協力へ
29日、石破茂首相とインドのナレンドラ・モディ首相が官邸で会談し、両国関係の新たな方向性を示す共同声明と「共同ビジョン」を発表した。2008年以来17年ぶりに「安全保障協力に関する共同宣言」を改定し、経済・防衛・人材交流など幅広い分野で連携を強化することを確認した。
新たな協力目標には、インドへの民間投資10兆円規模、5年間で50万人以上の人材交流が盛り込まれた。石破首相は「今後10年間の協力の方向性を発信する機会としたい」と述べ、関係深化への意欲を強調。モディ首相も「民主主義国家同士の協力が世界の繁栄につながる」と応じた。
「10兆円投資、本当に国民の利益になるのか」
「技術協力は必要だが負担ばかりでは困る」
「人材交流50万人は治安や文化摩擦の不安もある」
「安保でインドと組むのは中国への牽制になる」
「成果を国民に説明しないとポピュリズム外交に映る」
安保分野の協力深化
改定された安保宣言には、自衛隊とインド軍の共同訓練拡大や、防衛装備品の共同研究が盛り込まれた。また米国、オーストラリアを含めた「クアッド」での協力深化も明記し、インド太平洋での覇権主義的行動を強める中国を念頭に連携を強める姿勢を打ち出した。
日本は憲法改正を視野に入れつつ、防衛力の実効性を高める上でインドとのパートナーシップを不可欠と位置づけており、今回の改定はその象徴ともいえる。
経済・技術協力と投資拡大
経済面では、対印投資目標を10兆円に引き上げた。これは2022年に岸田文雄前首相が掲げた「5年間で官民5兆円」の倍額にあたり、日本企業のインド市場進出を後押しする狙いがある。また経済安保分野で新たな協力枠組みを設け、半導体やAIなど先端技術分野での協力を推進する方針も確認した。
両首脳は翌30日、宮城県の東京エレクトロン拠点を視察する予定であり、技術連携が具体化するかが注目される。ただし巨額投資については「国民負担ばかり増えるのでは」との懸念もあり、成果を明確に示さなければ「ポピュリズム外交」との批判は避けられない。
人的交流50万人と課題
共同ビジョンは今後5年間で50万人以上の人材交流を目標とした。技術者や留学生を中心に、日本で知識や経験を積んだインド人が帰国後に自国発展へ貢献する流れを想定している。
ただし日本国内の受け入れ環境は、文化や法を遵守する枠組みが整ってこそ機能する。急激な外国人増加は地域社会に摩擦を生むリスクもある。治安や社会保障への影響を最小限に抑えるため、透明性ある制度設計が不可欠だ。
日印「次の10年」に求められる説明責任と国益の徹底
今回の会談は、日印関係が新たな段階に入ったことを示すものである。安保から経済、人材交流に至るまで幅広い協力が打ち出されたが、最も重要なのは「日本国民にどのような利益が還元されるのか」を明確に示すことだ。
石破首相が掲げた「関係をさらなる高みに」という言葉を実現するには、単なる外交演出に終わらせず、具体的成果と国益の可視化を行うことが欠かせない。次の10年の日印協力は、日本外交の真価を問う試金石となる。