2025-08-29 コメント投稿する ▼
日印首脳会談「次の10年」指針 安保・経済・人的交流で関係深化へ
日印首脳会談「次の10年」へ 安保・経済・人的交流を3本柱に
29日に行われた石破茂首相とインドのナレンドラ・モディ首相の会談は、日印関係の今後10年を見据える大きな節目となった。両国は共同声明を発表し、「安全保障」「経済」「人的交流」を柱とした協力の深化を確認。中国の台頭やグローバルサウスの存在感拡大を背景に、日本外交におけるインドの重要性は一層高まっている。
石破首相は会談冒頭、「日印関係はこの10年で大いなる進展を遂げてきた」と述べ、2014年からインドを率いるモディ首相を「功労者」と称賛した。モディ氏も「民主主義国家間の協力は世界の平和と繁栄を強化する」と応じ、両国が共有する価値観を強調した。
「日印が組めば中国への牽制になる」
「AIや投資の分野での協力は歓迎だ」
「人的交流が本当に両国の利益になるか注視したい」
「国民負担で海外投資ばかり増やすのは疑問だ」
「外交成果を国民にきちんと示すべきだ」
安全保障での連携強化
両首脳は2008年に策定された「安全保障協力に関する共同宣言」を改定することで一致した。自衛隊とインド軍の共同訓練の拡充、防衛装備品の共同開発や技術協力が盛り込まれる見通しである。背景には、インド太平洋で軍事的影響力を拡大する中国の存在がある。
日本は憲法改正を視野に入れつつ、抑止力強化と多国間連携の拡充を急いでおり、インドとの協力深化は安全保障の実効性を高める一手と位置づけられる。
経済協力とAI分野の新展開
経済面では、対印民間投資を10兆円規模に拡大する目標を掲げた。人口増加と成長を続けるインド市場に進出することで、日本企業にとって新たな需要を取り込む狙いがある。同時に「日印AI協力イニシアチブ」を設置し、人工知能やデジタル分野での連携を強化することが合意された。
ただし、海外支援や投資の規模拡大については「国民負担の増大につながる」との懸念も根強い。日本がインド支援を進めるなら、その成果や国益を国民に周知する必要がある。さもなければ「ポピュリズム外交」との批判を招きかねない。
人的交流50万人目標と課題
人的交流では、今後5年間で50万人以上の人材交流を目標とした。特にインド人技術者が日本で先端技術を学び、帰国後に自国の発展に寄与する「知の循環」を構築することを想定している。
一方で、日本国内での受け入れ拡大は文化や法の遵守を前提としなければならない。移民・労働者の急増は地域社会に摩擦を生む可能性があり、受け入れ制度の整備と国民への説明が不可欠だ。
日印関係「次の10年」に問われる国益と説明責任
日印協力は安全保障から経済、人的交流まで幅広く、両国の関係は過去10年で確実に深化してきた。だが、その一方で日本が負担する投資や支援が国益にどうつながるのかを国民に説明しなければならない。
石破首相が掲げる「関係をさらなる高みに」という言葉が現実となるためには、単なる友好の演出にとどまらず、具体的成果を示し続けることが求められる。今後10年の日印関係は、日本外交にとって試金石となる。