2025-07-06 コメント投稿する ▼
小泉進次郎農水相、コメ価格抑制で消費者評価も 揺れる農家の信頼、農政の真価問われる参院選
小泉進次郎農水相、コメ農家の不信払拭に奔走 価格抑制で評価も、生産現場には根強い不安
参院選の行方を左右する「農業票」をめぐって、小泉進次郎農林水産相が精力的に“コメどころ”を駆け回っている。青森、山形、秋田、宮城、北海道――いずれも改選1人区で接戦が繰り広げられる中、小泉氏は自民党候補を支援しつつ、コメ農家への発信を強化。「3千円台」に下落したコメ価格に一定の評価がある一方、生産現場では将来への不安と不信が渦巻いている。
“安くて安心”の裏で広がる生産者の懸念
小泉農水相が強調するのは、「消費者の生活を守りつつ、農家の所得も確保する」という両立策だ。実際、備蓄米の随意放出で市場価格は下落傾向に転じ、スーパーでは5キロあたり4千円台から3600円台へと安定。物価高に苦しむ消費者には歓迎された。
だがその一方で、農業現場の空気は冷ややかだ。JA幹部らは「“安ければいい”という発想では、生産者がいなくなる」と警鐘を鳴らし、若手農家の中には「赤字経営に転落しかねない」との危機感すらある。
「燃料代も肥料代も上がってるのに、米価だけが下がるとかありえない」
「進次郎さん、しゃべりはうまいけど、農家の現実が見えてるのか」
「安くして国民に感謝されるだけじゃ農業は守れない」
「安定供給って言うけど、それが農家の破綻の上に成り立つなら本末転倒」
「価格抑制するなら支援金もセットじゃないと意味ない」
農業票はもはや自民の“安定基盤”ではない
青森県内のJA組織は今回、自民・立民両候補を推薦する「相乗り」対応を選んだ。かつての「農協=自民の票田」という構図は、ここに来て完全に崩れている。
実際に地元の自民党市議が農家を訪ねても、「今回は投票先を決めかねている」との声が目立った。これは単なる政策の不満ではなく、“農政そのものへの信頼”が揺らいでいる証左だ。
農水相就任からわずか1カ月半で、成果をアピールしなければならない小泉氏にとって、今回の選挙区行脚は“試練の旅”でもある。
演説会場の熱気と、現場に広がる温度差
6日、青森県田子町で開かれた自民候補の演説会では、400人超が詰めかけ、立ち見が出るほどの盛況だった。小泉氏が登場すると会場の空気は一気にヒートアップ。「今は緊急対応だが、必ず所得を守る環境をつくる」と訴えると拍手が起こった。
だが、その言葉をどれだけの農家が“本気”と受け止めたかは未知数だ。
その数時間後、立憲民主党の候補者が同じ八戸市内で、「生産者を見た農業政策が必要」と訴え、農家の支持を競い合う姿が見られた。まさに農業票をめぐる“直接対決”が続いている。
農業の未来は“票”で決まる 持続可能性をかけた選択
農家の平均年齢は約70歳、若手の経営は常に綱渡り。千葉県の30歳の農家・土井綾将さんは、「今のコメ価格ではやっていけない」と訴える。肥料、燃料、機械の維持費――あらゆるコストが上昇する中、価格だけが下がるのは“政策の失敗”と見る向きもある。
土井さんは「安くするなら、支援制度の拡充とセットでしっかり議論してほしい」と与野党に注文をつけた。これは若手農家に限らず、地域農業の持続性そのものがかかっている重い言葉だ。
小泉氏は「農業を守る」と繰り返してきた。今問われているのは、“誰の農業”を守るのか、そして“どこまで本気か”ということだ。