2025-07-01 コメント投稿する ▼
小泉進次郎農水相「精米設備に余力あり」備蓄米流通停滞に反論 実態は現場とのギャップも
小泉進次郎農水相が「精米ラインは空いている」と説明 備蓄米の流通停滞に反論
精米設備の余力は想定以上 稼働率50%以上のラインが約4割
「余力はあるが活用できない」現場とのギャップと政府の見通し
新米シーズン目前 備蓄米の販売期限に迫る“時計の針”
備蓄米の流通が停滞する中、小泉進次郎農林水産大臣は7月1日、全国の精米設備の稼働状況に関する調査結果を明らかにし、「全国で約4割の精米ラインが50%以上の余力を有している」と述べた。これにより、従来指摘されてきた「精米業者の処理能力不足」という問題に対し、「思った以上に空いており、相当量の稼働が可能だ」と反論する形となった。
だが、実際の流通現場では、小売側からは「販売期限が厳しすぎる」との声が多く上がっており、精米ラインに余力があっても「流通網に乗らない米は結局、消費者に届かない」という現実とのギャップが顕在化している。
精米業者468社のうち4割が“半分以上空き” 政府調査で判明
農水省が調査対象としたのは、全国の精米設備を保有する468社、計730ライン。このうち約4割のラインが、「50%以上の引き受け余力がある」と回答しており、政府としては「物理的な精米処理能力はある」という判断に至った。
この結果を受けて小泉農水相は、「新米が出回る8月末までに、備蓄米を確実に消費者に届ける環境は整いつつある」と前向きな見通しを示した。
一方で、調査に協力した業界団体・全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)の報告では、1日あたり最大290トンの処理余力があるとしつつも、「大手の卸売業者からは“余力ゼロ”との回答が多かった」との注記も添えられている。
「余力あっても流通と売り場がなければ意味ない」
「結局、小規模業者しか動けないんでしょ?」
「政府の“空いてるから大丈夫”って話、何度も聞いたよ」
「稼働できるのに、なぜ遅れてるのかの分析がない」
「消費者の手元に届いて初めて“政策成功”じゃないの?」
備蓄米は8月末が“リミット” 政府は小売とのマッチング支援へ
問題の背景にあるのは、政府が抱える「備蓄米」の消化期限だ。政府は2023年度産の備蓄米を、次の収穫期となる8月末までに市場に流通させたい考えであり、それを逃すと新米と競合してしまい、価格調整や倉庫管理に支障が出る可能性がある。
そのため農水省は、小売業者から「期限内の販売は難しい」との声が相次いでいる現状を踏まえ、精米業者と小売の“マッチング支援”に乗り出す方針を表明。需給のアンバランスを解消するために、業界横断的な連携体制の強化が求められている。
だが現場からは、「単なるマッチングで済む話ではない」「価格、物流、店舗の棚割りすべてが課題」との指摘もあり、農水省の想定よりも“最後の一押し”には困難が伴うとみられている。
大手業者の“余力ゼロ”が示す構造問題 地方の中小は対応限界
今回の調査では、「余力あり」と答えたのが中小の精米業者に集中しており、大手卸売業者の多くが「余力ゼロ」と回答したことは見逃せない。
大手業者はすでに年間契約や出荷計画が固定化されており、今から備蓄米の精米を追加で請け負う余地がないというのが実情だ。一方、中小業者は比較的柔軟に対応できるものの、設備投資や人員確保に限界があり、全国規模での供給には届かない。
また、備蓄米は価格調整が入るため、採算性の面でも「大手が乗りにくい構造」があり、単に設備が空いているか否かだけでは語れない複雑な問題が横たわっている。
“見える数字”と“見えない現実”の差 求められる政策の実行力
小泉農水相が公表した「精米ラインに余力あり」という調査結果は、政策立案の前提として重要だ。だが、その情報だけで現場の課題が解決するわけではない。
本当に必要なのは、精米ラインの稼働率ではなく、「備蓄米が実際に店頭で売られる」までを一貫して支援する仕組みである。価格調整、物流補助、販売促進支援――現場が必要としているのは、こうした“細かくて面倒な支援”だ。
政治の仕事は、数字を並べて安心感を演出することではない。現場が動き、消費者が恩恵を実感できて初めて、「政策が成功した」と言えるはずだ。