2025-06-17 コメント: 1件 ▼
小泉進次郎農水相、米の流通実態を“徹底調査”へ 7万事業者対象の異例の大規模報告要請
小泉農水相が“本気”の宣言 米流通の「見える化」に異例の大調査
コメの価格高騰や需給の不透明感が続く中、小泉進次郎農林水産大臣は6月17日の記者会見で、コメの流通構造を徹底的に解明するための“異例の大規模調査”を実施する方針を明らかにした。対象となるのは、全国約7万の集荷業者や小売事業者。政府として、流通の「見える化」に本格的に乗り出す。
「前例のない取り組み。流通全体の解明に本気だという明確なメッセージにしたい」(小泉農水相)
この調査では、年間20トン以上のコメを取り扱う米穀店などの事業者に対し、6月末時点の在庫量、仕入れ、販売実績などの詳細な報告を求める。これに加え、外食産業や中食(中間食品)を扱う業者、小売業者に対してもヒアリングを実施し、取引の実態把握を図るという。
政府はこれまで、大手の集荷・卸売業者を中心に在庫調査を行ってきたが、今回は対象を一気に広げ、これまで見過ごされてきた末端流通の実態にも踏み込む形となる。
台帳照合・立ち入り検査も 「抜け道」監視へ厳格対応
調査に際しては、報告内容と帳簿台帳を突き合わせる実地調査も行い、虚偽報告や記載漏れがあった場合には、立ち入り検査や罰則の適用も検討するという。
特に、価格の変動要因となる「在庫の隠し持ち」や「転売ルート」など、意図的な操作の有無も重要なチェックポイントになるとみられ、農水省としても厳格な姿勢で臨む構えだ。
「コメ価格が消費者に届くまでに、なぜここまで複雑な構造になるのか。ブラックボックスを明らかにする」(農水省幹部)
7月末に中間報告へ 価格安定化と信頼回復に本腰
今回の調査は7月下旬に中間報告がまとめられる予定で、その後の政策形成や価格安定策にも反映される見通しだ。
昨今のコメ価格の急上昇を背景に、「在庫操作で価格をつり上げている業者がいるのではないか」との疑念がSNS上などで相次いでおり、農水省としても事態の沈静化と消費者・生産者双方の信頼回復に向けて動き出した形だ。
背景には“流通の不透明さ” 小泉氏が繰り返してきた警鐘
小泉農水相はかねてより、コメの流通を「複雑怪奇」と表現し、その構造の見直しを訴えてきた。農家から消費者に届くまでの過程で、集荷、卸、小売などのプレイヤーが多層に存在し、在庫や流通量の正確な把握が困難になっている。
このため、「誰がどこで米を保管しているのか」「流通にどれだけ時間がかかっているのか」といった実態がブラックボックス化し、価格操作や需給ミスを招く一因になっているとの見方もある。
「農家は米が余っていると言い、消費者は高くて買えないと言う。この矛盾の根っこにあるのが、流通の不透明さ」(農水省関係者)
流通の透明化で価格高騰に歯止めを
今回の調査が目指すのは、コメ流通の全体像をつかみ、「どこで、何が、どのように滞っているのか」を明らかにすることだ。特に、近年は気候変動や輸送コストの増大により、コメの安定供給自体がリスクに晒されている。
調査結果を通じて、流通構造の改善や需給予測の高度化、そして価格高騰の抑制にどこまでつなげられるかが、今後の焦点となる。