2025-12-18 コメント投稿する ▼
川崎重工業を指名停止へ 潜水艦エンジン改ざんで防衛省が最終調整
2025年12月17日、防衛省が川崎重工業に対し、指名停止処分を科す方向で最終調整に入ったことが明らかになりました。 海上自衛隊の潜水艦に搭載されるディーゼルエンジンの燃費性能データが長年にわたり改ざんされていたとされ、契約不履行が常態化していたとの判断が背景にあります。 防衛省によると、海上自衛隊は25隻の潜水艦を保有し、川崎重工業と三菱重工業がほぼ半数ずつを建造しています。
潜水艦エンジン不正が示した防衛調達の歪み
2025年12月17日、防衛省が川崎重工業に対し、指名停止処分を科す方向で最終調整に入ったことが明らかになりました。海上自衛隊の潜水艦に搭載されるディーゼルエンジンの燃費性能データが長年にわたり改ざんされていたとされ、契約不履行が常態化していたとの判断が背景にあります。
指名停止期間は2.5カ月を軸に検討されており、防衛省は違約金の算出作業も進めています。国防を支える装備品の信頼性を根底から揺るがす問題であり、防衛産業と行政の関係性が厳しく問われる事態となっています。
「防衛装備でデータ改ざんは一線を越えている」
「長年見逃されてきたのが不思議だ」
「安全に影響ないと言われても不安は消えない」
「大企業だから甘くなったのでは」
「税金で買う装備の管理がずさんすぎる」
20年続いた改ざんと調査の経緯
今回の不正は、川崎重工業が商船用エンジンの検査でデータを書き換えていた問題を調査する過程で発覚しました。同社が「潜水艦でも不正が疑われる」と防衛省に申告したことで、問題が表面化しました。
関係者によると、エンジン組み立て後に行われる陸上試験で、燃料消費量などの計測値を基準に適合するよう装い、数値のばらつきを小さく見せる虚偽報告が行われていました。改ざんは遅くとも2002年ごろから約20年間続いていたとされ、単発ではなく組織的な不正だった可能性が強まっています。
潜水艦運用と防衛力への影響
防衛省によると、海上自衛隊は25隻の潜水艦を保有し、川崎重工業と三菱重工業がほぼ半数ずつを建造しています。ディーゼルエンジンは蓄電池の充電などに使われ、「おやしお型」「そうりゅう型」「たいげい型」といった現役艦に搭載されています。
防衛省は海洋での試運転では基準を満たしていると確認しており、「安全性や性能に影響を及ぼすものではない」と説明しています。ただ、防衛装備庁の中央調達において川崎重工業は長年上位にあり、2024年度の契約実績は6383億円と極めて大きい規模です。指名停止となれば、政府が掲げる防衛力強化政策の進行にも影響が及ぶ可能性があります。
繰り返される不祥事と企業統治
川崎重工業を巡っては、潜水艦修理契約に絡む裏金問題で、2024年12月以降に2度の厳重注意処分を受けています。省内では「処分が甘いのではないか」との声も出ていました。さらに2013年には、陸上自衛隊ヘリコプター開発を巡る官製談合事件で、2カ月の指名停止処分を受けた経緯があります。
防衛装備は国民の税金で調達され、国家の安全を直接左右します。企業・団体献金などを通じて政治と企業の距離が近づけば、監督が甘くなる危険性は否定できません。国防分野こそ、企業統治と行政監視を最も厳格に行うべき領域であり、今回の処分はその原点を改めて突き付けています。