2025-11-28 コメント投稿する ▼
海上保安庁、総トン数3万1千トン“超大型巡視船”建造へ 本格始動
一方で、この“超巨大巡視船”に対して疑問の声もあります。 たとえば、以前の報道では「全長約199メートル、30,000トン級という規模は、巡視船としては過剰ではないか」「燃費や維持費が高く、経済的に効率を欠く可能性がある」と指摘されていました。 この多目的巡視船の建造が進めば、2029年度の就役を目標としています。
海上保安庁が“空前の巨大巡視船”建造へ 本格始動
2025年11月28日、海上保安庁(海保)は、今年度の補正予算案の概要を公表し、新造する“多目的巡視船”のための予算として 140 億円を計上しました。これは同庁史上最大級となる巡視船の建造に向けた本格的な第一歩です。
この新造巡視船は全長約200メートル、幅約27メートル、総トン数は約31,000トンの規模を想定しています。現在、海保が保有する最大級巡視船「あきつしま」の約6,500トンと比べても、約4倍以上の巨大さとなります。設計どおりなら、海上自衛隊の大型護衛艦「ひゅうが型護衛艦」をも上回る規模の“洋上の要塞クラス”巡視船となります。
主用途として、自然災害時の被災地支援、避難民の輸送、物資搬送などの国民保護活動のほか、領海警備や有事対応など多岐にわたる任務を想定。ヘリコプター2機を運用できる甲板、RORO形式の車両甲板、多数のコンテナ積載スペース、複数の搭載艇や大型クレーンなどを備える予定で、言わば「海上の移動基地」として機能させる設計です。
当初、2025年度当初予算ではこの巡視船の建造費用として約139.3億円が計上され、今回の補正で140億円という形で上乗せされたものです。総事業費は約680億円とされており、来年度以降も継続して予算を配分し、2029年度の就役を目指す計画です。
なぜ今、“超大型巡視船”か
海保がこれほど大きな巡視船を新造する背景には、国内外をめぐる安全保障と防災の両面でのニーズの高まりがあります。近年、自然災害の多発に加え、領海を巡る緊張が増す中で、災害対応のみならず有事の事態にも即応できる体制づくりが求められてきました。
公式には「災害対応や国民保護」を主目的に挙げられていますが、設計の規模や性能を考えれば、単なる救援船を超え、洋上警備や広域展開、指揮統制拠点としての性格も兼ね備えていると見る専門家は少なくありません。ある報道では、この巡視船について「ヘリ空母に匹敵する規模」という表現も使われています。
また、近年の外国海警船の増強に対抗し、広域海域での存在感を示す「抑止力」としての役割も期待されているようです。特に領海の警備強化に関する政策の一環として、この大型巡視船は重要な役割を担うことになります。
懸念と議論:本当に必要か、効率性は?
一方で、この“超巨大巡視船”に対して疑問の声もあります。たとえば、以前の報道では「全長約199メートル、30,000トン級という規模は、巡視船としては過剰ではないか」「燃費や維持費が高く、経済的に効率を欠く可能性がある」と指摘されていました。
また、この船があくまで“非武装の巡視船”であるという点も重要です。護衛艦のような武装艦ではないため、他国の軍艦に対する抑止力としては限界があります。つまり「洋上の空母」のように見えても、実態は“巨大な非武装の支援拠点”に過ぎない、という批判があるのです。
さらに、維持管理や乗組員の確保、実際の運用コストなど長期的な利便性をどう担保するかも、今後問われることでしょう。
今後の展望と注目点
この多目的巡視船の建造が進めば、2029年度の就役を目標としています。今後数年で国内の海上防災体制、国土防衛のあり方が大きく変わる可能性があります。
一方で、具体的な投入海域、運用体制、他の巡視船や自衛隊との連携の在り方など、詳細は未公表のままです。この船が「災害対応用の移動拠点」として機能するのか、それとも「有事対処の洋上基地」として使われるのか、国民も注視する必要があります。
さらに、今後の予算編成や国際情勢の変化によっては、同様の“大型化”がさらに進む懸念もあります。建造だけでなく、その後の維持コストまで含めた長期戦略が求められるでしょう。