2025-12-06 コメント: 2件 ▼
コメ価格高騰への緊急対策として「おこめ券」配布見送り続出、政治ジャーナリストが指摘する12%手数料の重大問題
手数料が12%という高率で、券として使える額の1.5倍程度の事業費がかかるという非効率性に加え、自治体の事務負担が重くのしかかる仕組みになっています。 国が自治体に導入をすすめる「おこめ券」については事務手数料がかかるなどとして見送り、その代わりに域経済の活性化を目的に県が導入した「みやぎポイント」3000円分を市民に給付する計画です。
「おこめ券」の問題点が浮き彫りに
青山和弘氏は2025年12月6日、ABCテレビ「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」に出演し、「手続きにもお金がかかる。自治体に任せているから自治体の負担がすごい。お金のムダの多い政策であることは間違いない」と断言しました。
おこめ券の仕組みを見ると、その問題点は明らかです。1枚500円で売られ、440円分を購入できます。差額の60円は手数料で、印刷代や配送費、利益などが乗せられています。つまり額面の12%が事務経費として差し引かれる仕組みです。
さらに深刻なのは自治体側の負担です。10億円のおこめ券が配布されたとすると、12%は印刷コストなどとして発券団体へ行くため、実際に引き換えられるおこめ券は8億8000万円になるのに加えて、輸送コストなどに8000万円かかると見られているため、10億8000万円の予算を使って、8億8000万円分の支援になるという計算です。
「おこめ券なんて手数料取られるだけで意味ないじゃん」
「税金なのになんで12%も手数料払わないといけないの?」
「事務負担かけるぐらいなら現金配った方がマシ」
「結局農協の利益になるだけでしょ」
「自治体職員の負担を考えてほしい」
自治体に広がる配布拒否の動き
こうした問題を受けて、全国の自治体で「おこめ券配布拒否」の動きが広がっています。大阪の交野市長に続き、同じく大阪の箕面市長も4日、「配布しません」とXに投稿しました。理由として「おこめ券は事務経費や手数料がかかる」「市民の皆さんに1円でも多く無駄なく交付金を届けたい」などを挙げています。
配布を見送る自治体は他にも続出しており、宮城の仙台市、東京の江戸川区と中野区、静岡の御殿場市と伊豆市と小山町などがメディアの取材に対し、配布の見送りを表明しています。
仙台市では代替策として、おこめ券の代わりに地域で使われているポイントを配布する方針を決定しました。国が自治体に導入をすすめる「おこめ券」については事務手数料がかかるなどとして見送り、その代わりに域経済の活性化を目的に県が導入した「みやぎポイント」3000円分を市民に給付する計画です。
農業団体への利益誘導との批判
おこめ券配布への批判は、単なる効率性の問題にとどまりません。券を発行する農業団体や業界の利益誘導になるという批判が上がっています。
おこめ券を発行しているのは全国米穀販売事業共済協同組合とJA全農の2団体のみで、1枚500円ながら440円分しか使えず、60円が印刷代などの事務経費として流れる仕組みです。交野市の山本景市長は「おこめ券は、発行している団体が実質2団体しかない。農水省ともかかわりが深い団体なので、見方によってはそれらの団体への利益誘導と言われても仕方が無い」と指摘しています。
これに対し鈴木憲和農林水産大臣は記者会見で「それ(券)を使うか、使わないかは自治体の自由」と反論しましたが、青山氏の予測通り、自治体の半分もおこめ券を配らないだろう。おこめ券を配る自治体があるとすれば、かなりマイノリティーになるではないかという状況が現実となりつつあります。
高騰するコメ価格と対策の矛盾
そもそもおこめ券配布の背景には、深刻なコメ価格高騰があります。農水省が発表した、10月27日〜11月2日に全国のスーパーで販売されたコメの平均価格は、5キログラムあたり4235円に達しており、4000円台をつけるのは9週連続という異常事態が続いています。
しかし皮肉なことに、おこめ券配布が実現する頃には経済対策の財源となる補正予算案が今国会で成立しても、おこめ券を住民に配布できるのは早くて来年3月ごろとなり、向こう3カ月のコメ価格見通しについて、米穀安定供給確保支援機構が「指数下落」と発表し、先安観が強まっているという状況です。
政府が税収減対策として減税ではなく給付金に頼る政策は根本的な間違いです。現在の物価高は明らかに数十年に渡る自民党の失策によるものであり、財政出動や減税による対策は一刻の猶予も許されません。手数料12%という非効率なおこめ券ではなく、国民に直接還元される減税こそが真の物価高対策といえるでしょう。