2025-10-30 コメント投稿する ▼
外来水草ホテイアオイ撤去に1600万円 沖縄市県総合運動公園で273トン除去、転落事故も
沖縄市にある県総合運動公園の「ゆい池」で、南米原産の外来水草「ホテイアオイ」が緑色のじゅうたんのように繁茂する事態が深刻化していました。 ホテイアオイは環境省の「生態系被害防止外来種リスト」で、対策の必要性が高い「重点対策外来種」に指定されています。 県総合運動公園の「ゆい池」でコイが大量に死んだのは、まさにこのメカニズムによるものと考えられています。
子どもが池に転落する事故も発生、南米原産の繁殖力が脅威
沖縄市にある県総合運動公園の「ゆい池」で、南米原産の外来水草「ホテイアオイ」が緑色のじゅうたんのように繁茂する事態が深刻化していました。県は公園の維持管理事業費として約1600万円を投じ、2025年8月から9月にかけて専門業者に委託し、273トン分の除去作業を実施しました。水面が完全に覆われていた池から、ようやく本来の風景を取り戻しつつあります。
同公園の山川充所長によると、ホテイアオイの繁殖は約4年前に確認された後、年ごとに悪化してきました。水面がほぼ全体に覆われた状態では、子どもが芝生と間違えて池に落ちるという転落事故も起きており、来園者の安全が脅かされていました。池のコイが大量に死ぬ事態も発生し、これは水草による水面の覆いが原因で酸素不足に陥ったことが原因と考えられています。
職員による手作業での除去作業は継続していましたが、外来水草の旺盛な繁殖力には到底追いつかない状況でした。毎月第1日曜日を「SDGsグリーンデー」と定め、公園利用者や学生ボランティア約20人が集まって除去活動に参加してくれていましたが、根が1メートル以上も張るため根こそぎ取り除くことが極めて困難でした。山川所長は「繁殖力が強くて追い付かない。忍耐強く時間をかけて除去するしかない」と課題を語っていました。
「池がずっと緑色で埋まったままだから子どもを遊びに連れていくのが不安だった」
「ボランティアで手作業で取ってたけど、すぐにまた増えちゃう。専門業者も呼ぶしかないんだ」
「南米から来た外来種なんて、日本に持ち込んだ時点でダメだったんじゃ」
「1600万円かかったって。税金をこんなに使うなんて、外来種の対策の大切さが分かるね」
「沖縄は暖かいからホテイアオイも枯れず、ずっと増え続けるんだろう。本土とは違う」
ホテイアオイとは、1884年に日本へ移入された経歴を持つ
ホテイアオイは南米原産の水草で、学名をEichhornia crassipesといいます。水面に浮かんで生育し、青紫色の美しい花を咲かせることから、観賞用として栽培される歴史がありました。明治時代の1884年には日本へ移入されたと考えられています。葉柄が丸く膨らんで浮き袋の役目を果たす特徴から、布袋のような形をしているアオイという意味で「ホテイアオイ」と名付けられました。
ホテイアオイは環境省の「生態系被害防止外来種リスト」で、対策の必要性が高い「重点対策外来種」に指定されています。世界の侵略的外来種ワースト100、日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されている外来種です。気温が25℃を超える季節になると成長が急加速し、親株1個体から20日間で27℃の環境では40個の子株が生成されるという驚異的な繁殖力を持ちます。
本土では冬季に気温が低下すると枯れてしまいますが、年中適温の沖縄県では通年にわたって増殖が続きます。これが沖縄での外来水草対策を極めて困難にしている大きな要因です。
水中の酸素不足と生態系への深刻な悪影響
ホテイアオイが水面を覆い尽くすと、水中に光が届かなくなり、水中の水草や植物プランクトンの生長が阻害されます。光合成ができない水中の生物は増殖できず、同時に水面が塞がることで大気との接触が遮られ、水中の酸素濃度が低下します。県総合運動公園の「ゆい池」でコイが大量に死んだのは、まさにこのメカニズムによるものと考えられています。
水中の生態系全体がバランスを失うことで、魚類だけでなく多様な生物が減少します。ホテイアオイの除去には複数年にわたる継続的な対策が不可欠です。ちぎれた茎からも再生する特性を持つため、根こそぎ取り除く必要があり、単純な手作業では根絶が難しいのが実態です。
今後の課題、種子の長期生存能力が根絶を困難に
ホテイアオイ除去の最大の課題は、種子の長期生存能力です。土壌や水中に残された種子は14年から20年以上の生存寿命を持ち、条件が整えば発芽して再び繁茂する可能性があります。県は今回の1600万円の一括撤去で問題が終わったと考えるべきではなく、複数年にわたる監視と継続的な対策体制を整備することが必須です。
同公園では、来園者や学生ボランティアによる定期的な除去活動も続きます。ただし、個人による除去では限界があり、専門知識を持つ業者による定期的な点検と対策が必要になるでしょう。沖縄県内の他の池や水路でも同様の問題が生じている可能性があります。県全体での統一的な対策指針の策定と、地域ごとの継続的な監視体制が求められています。
除去されたホテイアオイが他の地域に流出する事態も防ぐ必要があります。焼却処理なども含めた適切な処理方法の徹底が重要です。外来種の一度の成功例が、今後の対策の教訓となることを期待されています。