2025-10-05 コメント投稿する ▼
伊藤孝江氏「子どもの未来を守る」法定養育費で未払い防止へ 公明党が法改正を主導
こうした未払い問題の解消に向けて、法務省は離婚時に取り決めがなくても請求できる「法定養育費」の創設を進めています。 伊藤氏は「支払いを逃れることが難しくなることで、未払い防止の効果が期待できる」と語ります。 公明党は早くから養育費の未払い問題に取り組み、「子どもの利益を最優先に」という理念を掲げてきました。
養育費の未払い防止へ 「法定養育費」制度で子どもの生活を守る
離婚後に子どもの養育費が支払われず、生活が苦しくなるひとり親世帯が少なくありません。こうした未払い問題の解消に向けて、法務省は離婚時に取り決めがなくても請求できる「法定養育費」の創設を進めています。省令案では「子ども1人当たり月2万円」とされ、来年5月までに施行される見通しです。公明党法務部会副部会長の伊藤孝江参院議員は、「子どもの利益を最優先にした制度改革の一歩だ」と語ります。
受け取れるのは母子世帯でわずか28%
養育費は、親権の有無に関係なく別居親に支払い義務があります。しかし、2021年の国の調査によると、離婚後に実際に養育費を受け取っている母子世帯は28.1%、父子世帯は8.7%にとどまっています。そもそも養育費の取り決めをしているのは母子世帯で46.7%、父子世帯では28.3%しかありません。
伊藤氏は「感情の対立や経済的困難、手続きの煩雑さなどが未払いの要因となっている」と説明します。中には「子どもに会えないから支払いたくない」という理由で支払いを止める人もいます。逆に、離婚時に暴力を受けていた人が「関わりたくない」と請求を避ける場合もあり、どちらの立場にも課題が残っています。
この結果、ひとり親世帯の相対的貧困率は44.5%と高く、2人以上の大人がいる世帯(8.6%)の約5倍に上ります。伊藤氏は「経済的に追い詰められ、子どもの教育や進学にも影響が出ている。未払いは単なる金銭問題ではなく、子どもの権利の問題だ」と訴えます。
「養育費は“元配偶者への支払い”ではなく、“子どもの未来への投資”です」
「感情のもつれや対立を超えて、子どもの利益を最優先にすべきです」
「支払いが滞ることで子どもが不利益を被る現実を変えたい」
「制度を知ることが、支援につながります」
「国が関与して安心できる仕組みを整えることが政治の責任です」
「法定養育費」で取り決めなしでも請求可能に
政府は、2031年までに養育費を受け取るひとり親世帯の割合を40%まで引き上げる目標を掲げています。その柱となるのが、新たに創設される「法定養育費」制度です。
この制度では、父母の間で取り決めがなくても、離婚した日から暫定的に一定額を請求できます。法務省の省令案では「子ども1人につき月2万円」と設定され、生活保護基準やひとり親家庭の消費支出を踏まえて算出されています。
伊藤氏は「これまで取り決めがない場合、養育費の請求が事実上できないケースが多かった。制度によって最低限の生活支援が可能になる」と評価します。ただし、法定養育費はあくまで暫定的なものであり、最終的には父母の話し合いによって適正な額を決めることが望ましいとしています。
さらに、改正民法では養育費の確保を容易にする新たな仕組みも導入されます。養育費には他の債権より優先的に支払われる「先取特権」(月8万円まで)が認められ、父母間の合意文書があれば給与や預金を差し押さえることが可能になります。伊藤氏は「支払いを逃れることが難しくなることで、未払い防止の効果が期待できる」と語ります。
公明党が創設をリード
公明党は早くから養育費の未払い問題に取り組み、「子どもの利益を最優先に」という理念を掲げてきました。2020年6月には党内にプロジェクトチームを立ち上げ、支援団体や弁護士らから意見を聞き取り、法定養育費制度の必要性を提言。2023年の法改正で実現にこぎつけました。
伊藤氏は「当初、養育費は父母間の私的契約として国が関与してこなかった。しかし、公明党は『国が責任を持って子どもの生活を支えるべきだ』と主張してきた」と振り返ります。また、2023年6月に成立した改正子どもの貧困対策推進法では、養育費の受給状況を貧困の新たな指標に加えることも実現しました。
制度の周知と収入支援が今後の課題
伊藤氏は今後の課題として「新しい制度の周知徹底」を挙げます。特に、支払い義務のある親に対しても「養育費は子どもの権利であり、親としての責任を果たすことが社会の信頼につながる」と訴えています。
さらに、ひとり親世帯が安定した収入を得られるよう、就労支援や教育訓練の充実にも力を入れる考えです。「経済的に自立できる環境が整ってこそ、子どもに安心を届けられる」と強調しました。
伊藤氏は最後に「法定養育費制度は、困難の中でも子どもの生活を守る新しい支えになる。政治が守るべきは大人の都合ではなく、子どもの未来だ」と語りました。