2025-07-05 コメント投稿する ▼
芳野友子・連合会長が異例の3期目へ 問われる民主性と事務局長人事の行方
対抗馬不在で既定路線 問われる組織の開かれた運営
日本最大の労働団体・連合(日本労働組合総連合会)のトップ人事が、静かに決まりつつある。今年10月に任期満了を迎える芳野友子会長(59)が、3期目の続投に入ることが確実視されている。2015年から数えてすでに8年、女性初の連合会長という歴史的ポジションに立ちながら、今回も「対抗馬なき再任」となりそうだ。
内部では、官公労系労組からの不満や反発も根強い。労使交渉のスタンスや政権との距離感など、芳野体制に対して異論を唱える声もあるが、「我こそは」という次期リーダーが名乗り出ていないのが現状だ。
「連合って、いつからこんな予定調和の組織になったんだろう」
「芳野さんは嫌いじゃないけど、民主的な手続きが形骸化してない?」
「対抗馬が出ないって、健全な組織とは言えないよね」
「政権寄りがすぎると、労働者の声が届かなくなる」
「3期目って長すぎじゃない?しかも選挙なしで…」
確かに、誰もがなりたがらないほどの重責という現実もある。しかし、少なくとも「競争原理」が働かない組織では、緊張感や刷新の機運も生まれにくい。労働者の多様な声を代表する連合において、トップが事実上の無投票再選で決まるのは、組織の在り方そのものを問い直す機会でもあるはずだ。
3期目の狙いは「長期安定」か「現状維持」か
芳野氏が就任したのは2021年。連合内部では政治的なスタンスや方針で対立が絶えず、野党との距離感や、政権との連携をどうするかでも議論が分かれていた。芳野氏は現実路線を取り、自民党とのパイプも重視する姿勢を見せてきた。
その結果、立憲民主党や旧民進系支持労組からは距離を取られ、一方で政権寄りに見えるスタンスに批判も集まった。だが、芳野氏は「労働者のために政策を動かすには、与党との関係も無視できない」と現実的な判断を下しているという。
3期目となる今回、求められるのは「路線の継続」なのか、それとも「刷新」なのか。いずれにせよ、労働環境が劇的に変化する中で、組織の発信力や政策提言力が問われているのは確かだ。
焦点は事務局長人事 次のNo.2は誰に?
会長人事のシナリオがほぼ固まる中、いま最大の関心は「事務局長が誰になるか」に移っている。連合において、事務局長は会長を支えるナンバー2であり、実務を取り仕切る要として極めて重要なポジションだ。
連合の役員推薦委員会(ヤクセン)では、産業別組織(産別)の代表9人がA〜Dの4グループに分かれて意見を持ち寄り、最終的には全会一致で候補者を決定する仕組みだ。次のヤクセンは7月末に予定されており、そこで次期体制の枠組みがほぼ固まる見通し。
芳野氏が誰をパートナーに選ぶのか。あるいは各グループが調整して“相乗り”の形で候補を出すのか。そのプロセスによっては、組織内の力学が大きく動く可能性もある。
特に注目されているのが、民間系と官公労系のバランスだ。芳野氏が民間労組出身であるため、官公労の影響力を高めるためにも、事務局長ポストには官公労寄りの人材が起用される可能性が高いとみられている。
労働運動の未来は見えているか
いま、非正規雇用の増加、働き方改革、物価高、年金制度の再設計など、労働者を取り巻く環境は日々変化している。にもかかわらず、連合の存在感は年々薄れているという声も少なくない。現場で働く人々の肌感覚と、組織の言葉が乖離しはじめているのだ。
芳野体制が続くのであれば、次の6年間で「何を変えるのか」「何を守るのか」が明確に示される必要がある。単なる「続投」では意味がない。長期政権であればこそ、責任は重く、成果が問われる。
労働者の代弁者として、連合が再び信頼される存在となるには、「内向きの論理」ではなく、「現場からの実感」を起点にした政策提言が求められる。次の人事がその第一歩になるのか、それともまたも旧来の論理で決まってしまうのか――。その結果は、すぐに組合員一人ひとりの未来に影響する。