2026-02-09 コメント投稿する ▼
和歌山県が外国人労働者にぬいぐるみと図書カード贈呈、モチベアップ効果は理解不能
和歌山県は、外国人労働者のモチベーションアップや日本語習得の意識醸成を図るため、日本語能力試験に合格した外国人労働者に、県のマスコットキャラクター「きいちゃん」のぬいぐるみと図書カードを贈呈することを明らかにしました。 こうした実質的な支援こそが、外国人労働者のモチベーションアップにつながるのではないでしょうか。
和歌山県が外国人労働者にぬいぐるみと図書カード贈呈、モチベアップ効果は全く理解不能
和歌山県は、外国人労働者のモチベーションアップや日本語習得の意識醸成を図るため、日本語能力試験に合格した外国人労働者に、県のマスコットキャラクター「きいちゃん」のぬいぐるみと図書カードを贈呈することを明らかにしました。対象は、県内に在住し、かつ、県内に所在する事業所で働く外国人で、2025年度に日本国内で実施された日本語能力試験のレベルN1、N2及びN3に認定された者です。しかし、ぬいぐるみや図書カードを贈呈したらなぜモチベーションがアップするのか、全くもって理解不能です。外国人労働者が本当に求めているのは、もっと実質的な支援ではないでしょうか。
県内の外国人労働者は約5700人
和歌山県によると、現在の県内には約6800人の外国人が在留しており、多くの者は県内の事業所で働いています。県内の事業所には約5700人の外国人の皆さんが働いており、こうした方々が職場で力を発揮し、安全に業務に取り組むためには、日本語能力の向上が重要であるとしています。
確かに、日本語能力の向上は重要です。職場でのコミュニケーションがスムーズになれば、業務効率も上がり、安全性も高まります。同じ仲間として安心・安全に働くためには、日本語の習得が必要不可欠です。
しかし、それを支援するのに、ぬいぐるみと図書カードが適切なのかという疑問が湧きます。
きいちゃんのぬいぐるみと図書カードの内容
和歌山県が贈呈するのは、県のマスコット「きいちゃん」が座った状態で高さがおよそ22センチあるぬいぐるみと、図書カードです。図書カードの金額は明らかにされていませんが、おそらく数千円程度でしょう。
日本語能力試験のレベルN1は最も難しいレベルで、幅広い場面で使われる日本語を理解することができるレベルです。N2は日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できるレベルです。N3は日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できるレベルです。
これらの試験に合格するには、相当な努力が必要です。仕事をしながら日本語を勉強し、試験に合格するのは大変なことです。そうした努力に対する報奨が、ぬいぐるみと図書カードというのは、あまりにも的外れではないでしょうか。
外国人労働者が本当に求めているもの
外国人労働者が本当に求めているのは、以下のようなものではないでしょうか。
第一に、賃金の向上です。日本語能力が向上すれば、より高度な業務ができるようになります。それに見合った賃金の上昇があれば、モチベーションは自然と上がります。
第二に、日本語学習の支援です。日本語教室の開設や、教材の無料提供、学習時間の確保などが考えられます。図書カードを渡すだけでなく、実際に学習できる環境を整備する方が効果的です。
第三に、生活支援です。住居の確保、医療機関へのアクセス、子どもの教育支援など、外国人労働者が抱える生活上の課題は多岐にわたります。
第四に、キャリアアップの機会です。日本語能力試験に合格したら、それを活かして、より責任のある仕事や、専門性の高い仕事に就ける機会があれば、モチベーションは大きく向上します。
こうした実質的な支援こそが、外国人労働者のモチベーションアップにつながるのではないでしょうか。ぬいぐるみと図書カードでは、一時的な気分転換にはなっても、長期的なモチベーションアップには結びつかないでしょう。
「日本語能力試験に合格したらぬいぐるみ?」
「モチベーションアップになるの?」
「賃金アップとか学習支援の方が嬉しい」
「きいちゃんのぬいぐるみって誰得?」
「図書カードの金額も少額なんでしょ?」
税金の使い道として適切なのか
この事業には、税金が使われています。ぬいぐるみの製作費、図書カードの購入費、事務手続きにかかる人件費など、それなりのコストがかかっているはずです。
しかし、その費用対効果はどうでしょうか。ぬいぐるみと図書カードを贈呈することで、どれだけのモチベーションアップ効果があるのか、データで示されていません。
もし仮に、100人の外国人労働者に贈呈するとして、1人あたりぬいぐるみと図書カード合わせて5000円だとすると、合計50万円です。これを日本語教室の開設費用に充てれば、もっと多くの外国人労働者が継続的に学習できる環境を整備できるのではないでしょうか。
税金を使う以上、費用対効果を明確にし、最も効果的な支援策を選択すべきです。ぬいぐるみと図書カードが最も効果的な支援策だとは、到底思えません。
他の自治体の取り組みと比較
他の自治体では、外国人労働者に対してどのような支援を行っているのでしょうか。
例えば、愛知県では、外国人労働者向けの日本語教室を開設し、無料または低額で受講できるようにしています。また、多言語での生活相談窓口を設置し、住居や医療、子どもの教育などについて相談できる体制を整えています。
東京都では、外国人労働者のキャリアアップを支援するため、職業訓練プログラムを提供しています。日本語能力試験に合格した外国人労働者には、より高度な職業訓練を受ける機会を提供し、スキルアップを図っています。
こうした取り組みと比較すると、和歌山県のぬいぐるみと図書カード贈呈は、表面的で実質が伴わない施策と言わざるを得ません。
モチベーションアップの本質とは
モチベーションアップとは、何でしょうか。心理学的には、内発的動機づけと外発的動機づけの2つがあります。
内発的動機づけとは、仕事そのものにやりがいを感じたり、成長を実感したりすることで生まれる動機です。日本語能力が向上すれば、職場でのコミュニケーションがスムーズになり、より責任のある仕事を任されるようになります。こうした成長実感が、内発的動機づけにつながります。
外発的動機づけとは、報酬や評価など、外部からの刺激によって生まれる動機です。賃金の上昇や昇進などが、外発的動機づけにつながります。
ぬいぐるみと図書カードは、外発的動機づけの一種と言えますが、その効果は極めて限定的です。一時的な気分転換にはなっても、持続的なモチベーションアップには結びつかないでしょう。
本当にモチベーションをアップさせたいなら、内発的動機づけを高める施策、つまり、仕事のやりがいや成長実感を得られる環境を整備することが重要です。
申請手続きの煩雑さも問題
さらに、申請手続きも問題です。対象者を雇用する事業所から、申出書と必要書類を連絡先に送信または送付する必要があります。
外国人労働者本人が直接申請するのではなく、事業所を通じての申請というのは、ハードルが高いです。事業所の担当者が手続きをしてくれればいいですが、忙しい事業所では、そうした手続きを後回しにする可能性があります。
また、外国人労働者本人が、この制度の存在を知らない可能性もあります。事業所から情報が伝わらなければ、せっかくの制度も利用されません。
こうした手続きの煩雑さも、この制度の実効性を低下させる要因です。
きいちゃんのぬいぐるみは誰得なのか
そもそも、きいちゃんのぬいぐるみを欲しがる外国人労働者がどれだけいるのか、甚だ疑問です。
県のマスコットキャラクターに愛着を持つのは、主に地元住民です。外国人労働者にとっては、きいちゃんが何者なのか、そもそも知らない人も多いでしょう。
仮に知っていたとしても、ぬいぐるみを欲しがるでしょうか。多くの外国人労働者は、送金のために日本に来ています。母国の家族に仕送りをするために、少しでも多く稼ぎたいと思っています。そうした人たちにとって、ぬいぐるみよりも現金の方がはるかに有益です。
図書カードも、日本語の本を買うのに使えるという点では悪くありませんが、金額が少額であれば、あまり意味がありません。
和歌山県は何を考えているのか
和歌山県は、この施策について、「外国人労働者のモチベーションアップや日本語習得の意識醸成を図り、さらに多くの外国人に県内で働いてもらいたい」と説明しています。
しかし、ぬいぐるみと図書カードを贈呈するだけで、そうした目的が達成できるとは到底思えません。むしろ、外国人労働者をバカにしているのではないかとさえ感じます。
日本語能力試験に合格するというのは、相当な努力の結果です。その努力に対する報奨が、ぬいぐるみと図書カードというのは、あまりにも軽すぎます。
和歌山県は、もっと外国人労働者の実情を理解し、本当に役立つ支援策を検討すべきです。表面的なPR施策ではなく、実質的な生活支援、日本語学習支援、キャリアアップ支援に力を入れるべきでしょう。
ぬいぐるみと図書カードの贈呈は、和歌山県の自己満足に過ぎません。外国人労働者のためになっているとは、全く思えません。