世田谷区が「里親待機制度」を導入へ
世田谷区は2025年度から「里親待機制度」を導入し、虐待などで保護された乳幼児を速やかに里親家庭に受け入れる体制を整える。この制度により、子どもたちの環境変化による負担を軽減し、安定した愛着形成を促進することを目指す。
制度の概要
対象年齢:0歳から未就学児までの乳幼児。
受け入れ家庭数:一定の条件を満たした4家庭を緊急受け入れ先として確保。
待機料:各家庭に月10万円を支給し、原則としていつでも子どもを迎えられるよう準備を求める。
事業予算:新年度当初予算案に事業費550万円を計上。
この取り組みは、都内の自治体では初の試みとなる。
背景と目的
世田谷区内では、2023年度に15人の乳幼児が乳児院や医療機関に一時保護された。しかし、保護施設では担当者が交代で子どもたちに対応するため、特定の大人が継続して関わることが難しい状況がある。
保坂展人区長は「子どもの愛着形成には、特定の大人が安定して関われる里親家庭に託すのが望ましい」と述べ、里親による速やかな受け入れの重要性を強調している。
里親登録状況
世田谷区児童相談所には、里親を希望する家庭の登録制度があり、2023年度末現在で99家庭が里親登録している。緊急受け入れ先はこの中から選定される予定である。
他自治体の取り組み
他の自治体でも、里親制度の普及・推進に向けた取り組みが進められている。
浜松市:平成27年度から地元企業や団体と連携し、社員向けに里親制度の周知を実施。
秋田県:秋田赤十字乳児院が秋田公立美術大学と協力し、里親制度の普及啓発事業を展開。
今後の展望
世田谷区の「里親待機制度」は、子どもたちの福祉向上と安定した養育環境の提供を目指す先進的な取り組みとして注目される。