2025-07-01 コメント: 1件 ▼
【コメ価格の適正化は可能か】斉藤鉄夫代表が語る「地域に応じた農政」と収入保障の必要性
コメ価格を巡る「納得」の着地点とは
7月1日夜に放送された報道番組「news23」に出演した公明党の斉藤鉄夫代表は、コメ価格のあり方について「食べる側も作る側も納得できる価格に落ち着くことが重要」と述べた。
現在、コメの価格は需要と供給のバランスに加え、地域差や作付け調整、政府の備蓄米政策など複雑な要素が絡んでいる。斉藤氏はこうした構造を前提に、「画一的な政策では対応できない」との姿勢を示し、東西の農業事情の違いを踏まえた地域別政策の必要性を強調した。
「東日本と西日本では農政の軸が違う」
斉藤氏は、「比較的大規模な水田が多い東日本では市場競争力が働く。一方、中山間地に多くの小規模農地が点在する西日本では、効率よりも地域の存続が問われる」と語った。つまり、同じ「コメ作り」といっても、地域によって直面する課題はまったく異なるという認識だ。
特に中山間地では、高齢化と人口減少により耕作放棄地が急増しており、放置された農地が森林の荒廃や災害リスクを引き起こすケースもある。
斉藤氏は、「農業には自然環境を守るという“公益的機能”がある。それを市場の論理だけで評価してはならない」と訴え、農家への直接的な収入保障の必要性を明確に打ち出した。
「西日本の農家、特に中山間地は市場に任せたら消滅する」
「適正価格って、誰がどう決めるのか曖昧すぎる」
「コメ農家が減れば、山が荒れて災害も増える」
「“自然保全のための農業”という視点は大事」
「公明党がこういう話をするとは思わなかったが、意外と的を射ている」
ネットでは、意外にも斉藤代表の指摘に「現場を知っている」とする共感の声も少なくなかった。
農業は“食の供給”だけでなく“地域の存続”
斉藤氏の主張の柱は、「農業を単なる経済活動と捉えるのではなく、地域維持や自然保護の基盤として評価するべきだ」というものだ。
特に中山間地域では、農地がなくなれば学校、商店、交通インフラの維持も困難になり、最終的には集落そのものの存続が脅かされる。これは単なる「農政」ではなく、地域政策の根幹をなす問題だ。
そのため、斉藤氏は「作る人の収入を守るシステム、つまり直接支払いや所得補償の仕組みを検討する必要がある」と提案した。これは、いわゆるEUのCAP(共通農業政策)における「多面的機能支払い制度」にも近い発想である。
消費者の理解と財源問題がカギ
ただし、収入保障政策には当然ながら財源が必要だ。国民全体で支える仕組みにするには、消費者側の理解が不可欠だが、コメの価格上昇に対する反発が根強いことも現実だ。
また、農業全体の高齢化と担い手不足が進む中で、価格だけを調整しても持続的な生産体制を確保するには限界がある。斉藤氏の言う「地域別の対応」と「多面的な視点」に、今後の農政は大きく舵を切れるのかが問われている。
「消費者も“安ければいい”じゃだめだと思う」
「農家にもっと光を当ててほしい」
「減反や米余りの時代と今はもう違う」
「米価を支える仕組みは農地と国土を守る仕組みでもある」
「若い農家が生きていける農政を真剣に考えるべき」
現場の声と消費者の意識のギャップをどう埋めるかが、今後の農政の核心となる。
斉藤鉄夫代表の発言は、農政を「食糧政策」だけでなく「地域政策」「環境政策」として捉える視点を含んでおり、一定の説得力を持つものだった。
だが、適正価格の定義は依然曖昧で、具体的な数値目標や財源計画には踏み込まれていない。実現には、減税や補助制度の見直しなど、より踏み込んだ制度設計と国民的な議論が不可欠だ。
“作る人”と“食べる人”の距離を縮めることが、これからの日本の農政には求められている。