2025-08-06 コメント投稿する ▼
防衛省が夏休み見学会を開催 「なぜ戦争はなくならないの?」子どもの問いに防衛大臣が真剣回答
平和と安全を学ぶ夏の体験
防衛省は8月6日と7日の2日間、夏休み中の子どもたちを対象にした見学会を開催した。場所は東京都新宿区市ヶ谷にある防衛省本庁舎。これは中央省庁が実施している「こども霞が関見学デー」の一環として行われたもので、将来を担う子どもたちに日本の防衛や安全保障の役割、自衛隊の活動について広く知ってもらう目的がある。
6日の午後には、小中学生あわせて10人が防衛省を訪問。偵察用オートバイや儀じょう訓練、さらに太平洋戦争時に作られ、今も現存する地下壕などを見学した。実際に使用されている装備や現場の訓練風景に触れ、子どもたちは真剣なまなざしを向けていた。
ある保護者は「自衛隊の仕事ってもっと堅いものかと思っていましたが、子どもが楽しそうに見ていたので、意外でした」と感想を語った。
「制服を着たお兄さんたちがカッコよかった」
「バイクで偵察って、漫画みたいだった」
「昔の戦争のトンネルがそのまま残っているのが驚き」
「もっとたくさんの人がこういうのを見た方がいいと思う」
「防衛大臣って優しそうだった!」
「なぜ戦争はなくならないの?」 子どもからの鋭い質問
今回の見学会では、ただの展示や体験にとどまらず、防衛省の中谷元防衛大臣(現職)が子どもたちと直接対話する時間も設けられた。子どもたちは大臣室を訪れ、日々の業務内容や国際情勢への向き合い方について興味深そうに質問を投げかけた。
「大臣として今までで一番緊張した仕事は何ですか?」という素朴ながらも鋭い質問には、中谷大臣が「国会での説明や緊急事態への対応は非常に責任が重く、常に緊張します」と真剣に答えた。
また、子どもから出た「なぜ戦争は無くならないのですか?」という問いには、「『戦争をしてはいけません』というルールを破る国が存在することで戦争は起きてしまいます。だからこそ、自衛隊はそうならないように、抑止力として訓練を重ね、備えているのです」と丁寧に説明した。
この率直で分かりやすい説明に、子どもたちだけでなく、同行した保護者の間でも「なるほど」とうなずく姿が見られた。
戦争の記憶と平和の意義を学ぶ場に
防衛省の敷地内には、太平洋戦争時代に造られた地下壕が今も残っており、今回の見学会でもその一部が公開された。この地下壕は、当時の軍部が空襲から逃れるために使ったと言われており、戦争の歴史を身近に感じることができる貴重な遺構だ。
子どもたちはその狭く暗い通路を通りながら、当時の緊張感や戦争の現実を少しでも感じ取ろうとしていた。ある男の子は「こんなところで生活してたなんて怖すぎる」と語り、また別の女の子は「二度と戦争が起きないようにしたい」と話していた。
防衛省のねらいと今後の展望
防衛省は今回のようなイベントを通じて、「自衛隊の活動に対する理解と関心を高め、将来の安全保障に関わる人材を育てたい」としている。単なる広報イベントにとどまらず、子どもたちが防衛や国の安全、そして平和の意味について自分なりに考えるきっかけづくりを重視しているという。
自衛隊に対する誤解や偏見を解くためには、こうした地道な広報活動が不可欠だ。日本では戦争や安全保障という言葉に対して、どうしてもネガティブなイメージがつきまとうが、国防とは「戦争を防ぐ力」であるという認識が社会全体に共有されることが求められている。
防衛省は「今後も継続して見学会や広報活動を実施していく方針」であり、より多くの世代に向けて、安全保障のリアルを伝える努力を続けていく構えだ。