2025-09-12 コメント投稿する ▼
75歳以上医療費負担緩和措置が今月末終了 約310万人が年間9000円負担増 福岡資麿厚労相「現役世代の抑制に理解を」
75歳以上の後期高齢者医療制度で、窓口負担が2割の人を対象に実施されてきた負担緩和措置が今月末で終了する。 高齢者にとっては実質的な負担増だが、大臣は「現役世代の負担を抑制する観点から理解をお願いしたい」と語った。 年間平均で9000円程度の増加とされるが、慢性疾患を抱える高齢者にとっては実質的な医療アクセスの制約にもつながりかねない。
75歳以上医療費の負担緩和措置終了へ 約310万人に影響
75歳以上の後期高齢者医療制度で、窓口負担が2割の人を対象に実施されてきた負担緩和措置が今月末で終了する。福岡資麿厚生労働大臣は12日の閣議後会見で、影響を受ける人は推計で約310万人にのぼり、平均で年間9000円程度の負担増になると明らかにした。高齢者にとっては実質的な負担増だが、大臣は「現役世代の負担を抑制する観点から理解をお願いしたい」と語った。
今回終了する配慮措置は、2022年の制度改正に伴って導入されたものだ。原則1割負担の後期高齢者医療費について、単身世帯で年収200万円以上、複数世帯で年収320万円以上の人は2割に引き上げられた。しかし急激な負担増を避けるため、1か月の外来診療で増える自己負担を最大3000円までに抑える特例が設けられていた。これが3年間の時限措置として続けられてきたが、今月末で打ち切られることになった。
終了による家計への影響と高齢者の声
制度変更によって、外来を複数回利用する高齢者の負担増は避けられない。年間平均で9000円程度の増加とされるが、慢性疾患を抱える高齢者にとっては実質的な医療アクセスの制約にもつながりかねない。ネット上には高齢者やその家族の不安の声があがっている。
「薬代も上がっているのに、さらに負担が増えるのは厳しい」
「結局は通院を控える人が増えるのでは」
「現役世代への配慮も分かるが、高齢者への影響が大きすぎる」
「制度の持続可能性ばかり強調して、生活実態を見ていない」
「医療を受けることが贅沢だと言われているように感じる」
一方で、現役世代からは「保険料負担の増大を抑えるためには仕方ない」という意見もあり、世代間の公平性を巡る議論が浮き彫りになっている。
現役世代の負担抑制と制度の持続可能性
福岡資麿厚労相は「引き続き高齢者に必要な保障が欠けることがないよう、受診や家計の状況を確認しながら、制度の持続可能性を確保するため丁寧に議論を進めていきたい」と強調した。現役世代の人口減少が続く中、社会保障制度全体をいかに持続可能な形に再設計するかが問われている。
高齢者医療費は国と地方自治体、現役世代の保険料で支えられており、負担のバランスは常に政治的課題となってきた。今回の配慮措置終了は、その調整の一環として位置付けられる。ただし、医療費の伸びが高止まりする中で、世代間の公平性と高齢者の生活保障をどう両立するかという課題は残る。
高齢者医療費負担増と制度改革の課題
今後は、2割負担の対象者に対してどのように受診機会を保障するかが焦点となる。政府は「制度の持続可能性」を掲げるが、負担増が結果として受診抑制を招けば、疾病の重症化や社会全体の医療費増大につながる懸念もある。高齢化の進展と財政制約のはざまで、医療制度の在り方が改めて問われている。