2027年に横浜市で開催される「2027年国際園芸博覧会」の会場建設費が、当初の予算より最大で3割増の417億円に膨らむ見込みとなった。横浜市は、この増額分を受け入れる方針を示しており、開催まで残り2年となった中で、出展者数や内容が発表されるなど準備は着実に進んでいる。しかし、今後は運営費の確保が大きな課題となる。
建設費の上振れ、横浜市は増額承認
当初、建設費は320億円を見込んでいたが、建設資材や人件費の上昇により、追加で97億円が必要になることがわかった。費用は国、地元自治体、経済界がそれぞれ3分の1ずつ負担する取り決めとなっており、横浜市の負担は約26億円増の約111億円となる見込みだ。これについて、運営を担う「2027年国際園芸博覧会協会」は、理解を得るためにコスト削減にも取り組んでおり、具体的には開閉会式の会場変更や大型催事場の整備中止などの見直しが行われた。こうした努力により、上振れ分を約34億円抑えたという。
横浜市の山中竹春市長は、これらのコスト削減策を前提に増額分を受け入れることが妥当だと市議会で表明した。
運営費の見通しと集客への懸念
しかし、運営費用の膨張が懸念される。現在、運営費は360億円と見込まれており、そのほとんどは入場料収入で賄う計画だ。そのため、集客をどう進めるかが大きな課題となっている。協会は、今後の機運醸成に向けて積極的なPR活動を行い、来場者数の確保に努めるとしている。
出展内容の発表と注目の展示
一方、協会は19日に記者会見を開き、出展が内定した377件の展示内容を発表した。会場では、「花と緑を通じて、持続可能な社会の実現を目指す」というテーマに基づき、さまざまな展示が行われる予定だ。注目の展示としては、岩手県陸前高田市から「奇跡の一本松」の根を展示し、震災の記憶を風化させないような取り組みが行われる。また、「園芸展示館」では、江戸時代の植木屋や花屋敷を再現し、日本の園芸文化に触れられる展示も予定されている。
さらに、会場の核となる「政府出展」では、和泉川上流部の地形を活用した「令和の日本庭園」が展示される。温暖化など地球規模の課題に対する解決策を示す展示も行われる。
海外出展と今後のPR活動
現在、協会は70カ国・機関を対象に海外出展を募っており、これが今後の博覧会成功に向けた大きな鍵となる。協会の脇坂隆一・推進戦略室長は、「これでどんな博覧会になるのかがイメージしやすくなった」と話し、今後はより積極的にPR活動を行っていく方針を示している。
博覧会の開催概要と期待
2027年国際園芸博覧会は、「幸せを創る明日の風景」をテーマに、花や緑との関わりを通じて持続可能で幸福感のある社会を目指すもので、会場は米軍から返還された上瀬谷通信施設跡地の118ヘクタールに設けられる。来場者数は1千万人以上を見込んでおり、日本での大規模な国際園芸博覧会の開催は、1990年の大阪市で開かれた「国際花と緑の博覧会」以来、2回目となる。