2025-04-12 コメント: 3件 ▼
一時減税では響かない国民の声――牧原秀樹氏は恒久減税の本質を見よ

しかしながら、こうした一方的な否定論には多くの問題点がある。
求められているのは「恒久減税」
まず、岸田政権が打ち出した所得税減税が国民に響かなかったとすれば、それは減税そのものの問題ではなく、その“中身”と“姿勢”の問題である。減税は一時的なものにとどまり、「たった一度の、しかも物価高への対症療法的な減税」だったことが、国民の心に響かなかった最大の理由だ。
多くの国民は、将来にわたって可処分所得を安定的に増やす「恒久的な減税」を求めている。将来不安の解消には、見せかけの一時的措置ではなく、税体系そのものの見直しが必要だ。
“ネットの声”を軽視してはならない
牧原氏は「ネットで減税などと騒いでいる人」に向けた施策では支持されないと語ったが、これは有権者の声を過小評価する発言だ。現在、ネットは単なる“騒音”ではなく、有権者の生の声を反映する重要な言論空間となっている。所得の伸び悩みや増税圧力に対する国民の不満が可視化されているだけにすぎない。
また、「支持が増えないから減税は不要」といったロジックは、本来の政治の目的である「国民の生活を豊かにする」ことを見失った考え方である。
減税反対派の論理の弱さ
牧原氏は「社会保障財源を削ってまで減税すべきではない」とするが、この論点もまた一面的だ。そもそも、現在の日本の財政構造において、社会保障費は毎年自然増しており、それを抑制する努力も同時に求められている。減税を理由に「社会保障が崩壊する」という主張は、財政の全体像を見ずに一部を切り取った“脅し文句”に過ぎない。
むしろ必要なのは、社会保障の効率化や無駄の見直しと、経済成長による税収の自然増を通じた財源確保という“持続可能なアプローチ”だ。
政治家こそ現実に向き合うべき
国民の可処分所得が増えず、物価が高騰し続けるなかで、減税に対する支持が高まるのは当然である。政治家がそれを「支持率目的ではない」と切り捨てるのではなく、真摯に受け止め、構造的な改革に取り組むべきだ。
特に今のような「将来不安が強まる局面」では、国民の生活を守るために税制を見直す姿勢こそが問われている。牧原氏がこのような現実を直視せず、減税を支持する国民を“騒いでいるだけ”と見なすのは、まさに政治の怠慢に他ならない。
減税に反対する立場は、断片的なデータや一面的な財政論に頼ることが多い。一方で、恒久減税の議論は、長期的な経済成長と将来への安心につながる。いま求められているのは、見せかけのバラマキではなく、税と社会保障のあり方を抜本的に問い直す誠実な議論である。牧原氏にも、その責任を果たす覚悟が求められている。