2025-06-11 コメント投稿する ▼
東京の水道料金無償化に黒岩知事が懸念「地域間格差拡大」 国に税制是正を要請
東京の水道料金無償化に神奈川県が懸念 黒岩知事「地域間格差を国が是正すべき」
東京都が発表した水道基本料金の無償化方針を受け、神奈川県の黒岩祐治知事は11日の定例記者会見で強い懸念を示した。黒岩知事は、「地域間でサービス水準に格差が生じる」とし、東京のような財源が潤沢な自治体と他県との格差拡大を問題視。国に対して、税収の偏在を是正する制度的対応を求める考えを明らかにした。
この発言は、都民には恩恵となる政策が、他の道府県民にとっては“逆差別”と映るという現実を浮き彫りにしている。自治体ごとの財政力の差が、国民生活の格差へと直結する中、地方間の公平性をどう確保するかが問われている。
「東京だけができること」 53億円の財源格差に警鐘
東京都は2024年夏以降、家庭向けの水道基本料金を一定期間無償化する方針を示している。背景にはコロナ禍や物価高騰の家計支援があり、数百億円単位の財源を都の単独予算から捻出する見通しだ。
一方、神奈川県の黒岩知事は、同様の措置を県営水道で実施した場合「年間で約53億円の減収になる」と指摘し、「財政的に到底実現できない」と明言した。
「われわれの財政状況ではとてもできない」
「東京のように豊かな自治体だけが住民サービスを強化できるのは、明らかに地域間の不公平だ」
黒岩知事はまた、「東京都のように個人に直接恩恵が及ぶ形の政策を実施すれば、県民から『なぜ自分たちにはないのか』という不満が噴出する」とし、行政サービスの格差が住民の感情的分断を引き起こしかねないと危機感をあらわにした。
「税収の偏在」が招く自治体間の不公平
東京都は法人税収や固定資産税の規模が他自治体と比べて圧倒的であり、特に大企業の本社が集中することから、他府県と比べ財政余力に大きな差がある。黒岩知事はこうした「偏在」こそが問題だと訴える。
「地方交付税などで補填しきれない東京一極集中の弊害が表れている」
「東京の政策が『できて当然』となれば、他の自治体は住民に説明がつかない」
現在の国の税制は、地方自治体の格差を是正するために「地方交付税」や「地方消費税の清算」などが存在するが、東京都のように「交付税不交付団体」とされる自治体は、事実上、財政の自由度が際立って高い。一方、神奈川県は交付団体ではないが、東京都ほどの財政余力はなく、単独施策には限界がある。
SNS上にも賛否 「格差当然」か「税制改正を」か
東京都の水道料金無償化は、家計支援の一環として評価される一方、SNS上では地方との不公平感を問題視する声も多く見られる。
「東京のやることに文句言う前に、他の県も努力すればいい」
「都民ばかり優遇されて、同じ国民なのに腹立たしい」
「税収が多い東京だけ得する制度なら、国が見直すべき」
「地方が疲弊してるのに、東京だけバラ撒きって不公平」
「水道だけじゃない。インフラも教育も全部格差。根本から見直してほしい」
特に現役世代や若い層からは、「同じ税金を納めているのに、自治体によってこんなにも待遇が違うのはおかしい」という意見が目立つ。一方で、東京都の独自施策を「自治体努力の成果」と評価する声もあり、議論は二分している。
公平な公共サービスのために今こそ制度の見直しを
地方分権が進む中、自治体ごとの政策の自由度は高まっているが、それと同時に「自治体格差」という新たな問題が浮上している。水道基本料金に限らず、教育、医療、福祉、エネルギー支援など、あらゆる分野で「地域による差」が広がりつつある。
黒岩知事が訴えるように、国が税制の在り方を見直さず、地方の疲弊に目をつぶったままでは、いずれ「住む場所による損得」が常態化する事態にもなりかねない。公平な行政サービスを国民全体に行き渡らせるためには、国による積極的な税収再配分制度の強化と、地域に寄り添った支援制度の構築が不可欠である。