2025-04-23 コメント: 1件 ▼
「減反こそが食料リスク」 長谷川ういこ氏、米増産と備蓄で安全保障強化を提言
「減反政策こそがリスク」 長谷川ういこ氏、食料安全保障に警鐘
食料自給率の低迷や物価高が続く中、元参院議員の長谷川ういこ氏が、X(旧Twitter)で「最も効果的な食料安全保障策は、減反廃止によるお米の増産です」と強調した。現行の農政に対する強い問題意識がにじむ発信だ。
“米を減らすために3000億円”の矛盾
長谷川氏が問題視するのは、政府がいまだに米の生産抑制に多額の予算をつぎ込んでいる現状だ。「お米の生産を減らすために年間3000億円超を投じていますが、消費者のためにも農家のためにもなっていない」と批判し、農業政策の根幹にある矛盾を指摘した。
形式的には、国が生産数量目標の通知を取りやめた2018年度をもって「減反政策は終了」している。しかし実態としては、飼料用米や麦への転作に補助金が継続されており、「見えない減反」は続いている。長谷川氏の発言は、こうした“制度の温存”に対する警告でもある。
“備蓄して食料支援に回せばいい”
では、どうすればよいのか。長谷川氏はこう提案する。
「価格変動で農家が困らないよう政府が直接支払いを行い、買い取って備蓄し食料支援に回せばいいのです」
政府が米を買い上げて備蓄することで、いざというときの食料支援に活用できるという考え方だ。実際、2024年には猛暑による不作と輸出・インバウンド需要の増加が重なり、「米が足りない」という声が全国で広がった。いわゆる“令和の米騒動”である。
長谷川氏の指摘通り、平時に米を輸出・備蓄し、有事にはそれを国内消費に回すことができれば、無駄なく安定供給が可能になる。
農業の構造改革にもつながる提言
長谷川氏の主張は、単なる備蓄政策にとどまらない。減反を本格的に廃止すれば、零細な兼業農家の退出が進み、農地が集約されることで、主業農家の生産性が高まり、経営の効率化も進むとされる。農業構造そのものの変革に資する提案でもあるのだ。
実際、政府は2030年までに米の輸出量を35万トンにまで引き上げる目標を掲げているが、減反政策が事実上続いている現状では、その達成は遠い。「食料安全保障を叫びながら、生産を抑えているという矛盾を解消すべき時です」と、長谷川氏の声には現場を知る者ならではの説得力がある。
「農家にも消費者にもメリットを」
「これは農家のためだけではありません。消費者が高い米を買わされる構造を変えるためでもあります」
そう語る長谷川氏の提案は、農業政策が抱える“見えない前提”を突き崩すものだ。物価上昇が家計を圧迫するいま、政府は「米を減らすための補助金」を見直す勇気を問われている。