2025-05-12 コメント投稿する ▼
介護人材不足が深刻化 公明党・鰐淵議員が現場視察、処遇改善へ支援強化を表明
介護人材確保へ支援を強化 公明党の鰐淵議員が現場調査
公明党の鰐淵洋子衆院議員は12日、東京都狛江市の特別養護老人ホーム「こまえ苑」を訪れ、介護人材の確保や処遇改善に関する現場の課題を調査した。同行したのは、いいだ健一党都本部青年局次長(都議選予定候補)や市議会議員たちで、現場の職員や施設長から直接意見を聞く姿勢を見せた。
この日、「こまえ苑」の石橋啓一苑長は、介護現場の厳しい現状を訴えた。約140人のスタッフが高齢者の支援に当たっているものの、「職員はそろっているが、誰かが辞めると代わりの人がなかなか集まらない。今年度は新卒の応募がなかった」と明かし、人材確保の難しさを強調した。さらに、給与水準の低さがその一因であり、経営が厳しく賃上げが容易でない現実も指摘された。
これに対し、鰐淵議員は「国、都、市が連携しながら処遇改善を進める」と応じ、具体的な支援策の検討を示唆。介護現場で働く人々の負担を軽減し、安定的な人材確保を目指すと約束した。
介護人材不足の深刻化 背景に低賃金と労働環境
日本の介護業界はかねてより人材不足が問題視されており、その深刻さは年々増している。少子高齢化による労働人口の減少に加え、介護職は他業種に比べて給与水準が低く、身体的・精神的負担も大きいことが敬遠される原因となっている。
厚生労働省の推計によれば、2026年度には約240万人の介護職員が必要とされるが、現状のペースでは約25万人が不足すると見込まれている。さらに、2040年度には必要人材は約272万人に達し、約57万人の不足が予測される。このままでは、介護現場での人手不足がますます深刻化し、サービスの質も低下しかねない。
こうした状況を受け、東京都も独自に介護人材の確保を目指した施策を展開している。職場体験を提供し、介護業界への関心を高める「かいごチャレンジ職場体験事業」や、初任者研修などの資格取得を支援する「資格取得支援事業」などがその一例だ。さらに、訪問介護事業所での人材確保を支援する「訪問介護採用応援事業」も実施されている。
処遇改善とデジタル化で現場を支援
介護現場の労働環境を改善し、職員の定着率を向上させるためには、単に人材を確保するだけでなく、働きやすい環境を整えることが不可欠だ。その一つが処遇改善であり、給与水準の引き上げはもちろん、勤務形態の柔軟化や業務負担の軽減も重要な課題である。
また、ICT(情報通信技術)や介護ロボットの導入を進めることで、職員の負担を軽減し、業務の効率化を図ることも求められている。特に、日々の記録や業務管理をデジタル化することで、事務作業の削減が期待される。
外国人労働者の受け入れ拡大や、高齢者自身の就労を支援する仕組みも必要だ。多様な人材を活用することで、介護現場の人材不足を補い、サービスの質を維持することが可能となる。
今後の展望 持続可能な介護体制の構築
介護人材の確保は、単なる人手不足の解消にとどまらず、社会全体の持続可能性にも直結する課題だ。政府や自治体、介護事業者が一体となり、処遇改善や働きやすい職場環境の整備を進めることが求められる。
特に、現場の意見を積極的に吸い上げ、政策に反映させることが重要だ。鰐淵議員の現場視察はその一環といえるが、これを単発の取り組みで終わらせず、具体的な支援策につなげていくことが鍵となるだろう。