2025-04-14 コメント投稿する ▼
有明海・八代海の再生に本格始動 総額100億円の交付金で漁場環境の改善へ
有明海・八代海の再生に本腰 「加速化交付金」活用で現場の声反映へ
自民党の「有明海・八代海再生プロジェクトチーム」(PT、座長・金子恭之衆院議員)は4月14日、関係省庁とともに会合を開き、地元の漁業団体や漁協からの要望を直接聴き取った。深刻な環境変化や漁業被害が続く両海域に対し、今年度から10年間にわたって総額100億円を投入する「有明海再生加速化対策交付金」が新設されたことを受け、今後の政策実行に向けた第一歩となる会合となった。
新交付金の狙いは「再生の加速」
会議では、農林水産省や環境省の担当者から令和7年度の予算概要について説明があり、今年度から導入された「加速化交付金」についての詳細が明かされた。
この交付金は、有明海と八代海で悪化が懸念される海域環境の回復に向け、以下のような取り組みを後押しする。
- 赤潮や貧酸素水塊の原因究明など、海洋環境の科学的調査
- ノリやアサリなど魚介藻類の増殖や養殖技術の向上
- 干潟や藻場の保全、漁場の整備などの物理的改善
交付金は今年度から10年かけて総額100億円規模で運用される予定で、地元の漁業者らが長年求めてきた「本格的な再生策」の大きな柱になる。
地元からは使いやすさと実効性に期待
この日の会議では、有明海・八代海沿岸で操業する漁業関係者から、赤潮の発生メカニズムの早期解明を目指す研究支援や、交付金制度の申請・活用の柔軟化を求める声が相次いだ。特に、現場のニーズに即した事業がスムーズに実施できるよう、煩雑な手続きを減らす工夫が必要との指摘もあった。
問われる政府と地域の連携
金子座長は、「これまでのような小手先の対策ではなく、漁業者や研究者としっかり連携しながら、科学的かつ実効的な再生事業を推進していく」と述べ、政府と地域が一体となった取り組みの重要性を強調した。
有明海・八代海では近年、赤潮の頻発やアサリの不漁などが深刻化しており、地域の漁業基盤が揺らいでいる。今回の交付金は、これらの課題に対する包括的なアプローチの起点となる。
地元に根ざした声をどう政策に反映させるか。交付金という「道具」をどう使いこなすか。今後の政府と地元の歩みが、この海の再生に向けた明暗を分けることになりそうだ。