2025-05-23 コメント投稿する ▼
日本とシンガポール、航空政策の連携強化へ 安全管理・SAF・空飛ぶクルマまで幅広く議論
日星が航空分野で連携強化へ
国土交通省は、シンガポール航空局(CAAS)と航空政策に関する第4回の政策対話を実施した。今回の協議では、2022年末に締結された協力覚書を土台とし、「航空安全」「航空交通管理」「持続可能な航空」「次世代モビリティ」など、両国が重視する分野での連携状況を確認し、今後の方針について意見交換を行った。
航空安全:羽田事故を教訓に
今回の対話の焦点のひとつは、2024年1月に羽田空港で発生した航空機同士の衝突事故だった。滑走路への誤進入を防ぐための仕組みや対策について、両国が知見を持ち寄り、今後の改善策に活かすべく協議が行われた。また、国際民間航空機関(ICAO)が定める安全管理枠組みに関する情報も共有され、グローバル基準に則った安全体制の強化が話し合われた。
航空交通管理:データ共有が鍵
次世代の航空交通流管理(ATM)を巡る議論では、航空機の運航データをいかに効率的に収集・共有し、安全かつ円滑な空域運用に活かすかが重要テーマとなった。両国は、リアルタイムな情報連携が、混雑緩和や環境負荷の低減につながると認識を共有し、技術協力の可能性についても言及した。
持続可能な航空と未来のモビリティ
また、カーボンニュートラルを目指す航空業界の取り組みとして、SAF(持続可能な航空燃料)の導入・普及に関する議論も交わされた。日本側は、「グリーンレーン」の導入調査などの具体策を提示し、シンガポール側も関心を示した。加えて、空港内の自動運転車両、無人航空機の運航管理システム、空飛ぶクルマの制度設計など、新しい空のインフラ構築に向けた意見交換も行われ、今後の連携が期待される。
地域の安全とイノベーションに貢献
今回の対話を通じて、両国はアジア太平洋地域における航空安全や環境対策の推進役となる決意を新たにした。国交省は今後もこうした政策対話を定期的に継続し、シンガポールとの協力を足がかりに、他国とも連携を拡大していく構えだ。日本の技術と制度運用の経験、そしてシンガポールの革新的な取組を掛け合わせることで、より安全で持続可能な航空ネットワークの実現が見込まれる。
* 羽田空港事故を踏まえた滑走路誤進入対策の情報共有
* 次世代航空交通流管理と運航データの連携で協力
* SAF導入や空飛ぶクルマなど、未来の航空政策についても議論
* アジア太平洋地域の航空安全向上に向け、連携を深化