2025-08-05 コメント投稿する ▼
維新・前原誠司共同代表が辞任 旧執行部との対立深まり8か月で退場
維新・前原誠司共同代表が辞任表明 期待された経験も党勢回復ならず
日本維新の会の前原誠司共同代表が5日の党会合で、参院選での不振を受け辞任を正式に表明した。旧民主党代表や外相を歴任し、長年の国政経験を買われて吉村洋文代表が共同代表に指名したが、就任から8か月での退場となった。
期待された“経験と人脈”
前原氏は就任直後から、石破茂首相や与党関係者との人脈を生かして交渉にあたり、通常国会では維新が長年掲げてきた「高校授業料無償化」を与党との合意にこぎ着けた。令和7年度予算への賛成と引き換えに実現したこの成果は、維新の政策実現力を示すものであり、吉村氏が前原氏を起用した狙いでもあった。
しかし、成果にもかかわらず党支持率の回復にはつながらなかった。むしろSNS上では「与党寄りになったことで維新らしさが失われた」「年収103万円の壁の引き上げが実現しなかったのは維新のせいだ」という批判が相次いだ。
「授業料無償化は評価するが、他を犠牲にした印象」
「維新の存在感が薄れた」
旧執行部との軋轢と迷走感
前原氏の足元を揺るがしたのは、馬場伸幸前代表ら旧執行部に近い議員との対立だった。新執行部に若手を起用したが、経験不足が党運営のぎこちなさとして露呈。党会合のたびに運営への批判が噴出し、メディアにも「迷走感」が繰り返し報じられた。
4日夜、前原氏は吉村氏に「挙党態勢で進むために人心を一新すべきだ」と告げ、辞表を提出。周囲には「前向きな決断」と漏らしたが、翌日の会合では青柳仁士政調会長が辞任を否定するなど、執行部の足並みは乱れたままだ。
「去り際まで混乱を招くのは残念」
「潔さがない終わり方」
短期間で終わった共同代表の役割
吉村氏が前原氏に求めたのは、与党とも交渉できる人脈と、国政経験に裏打ちされた調整力だった。しかし、党内融和は果たせず、旧執行部との溝も埋まらないまま、政策実現も党勢拡大には結びつかなかった。
橋下徹元大阪府知事や松井一郎前大阪市長という創業期のリーダーが去った後、維新は組織としての求心力を失いかけている。前原氏の辞任は、そのガバナンス不全を象徴する出来事ともいえる。
今後の維新と前原氏
8日には後任を選ぶ代表選が行われ、藤田文武前幹事長が出馬する見通しだが、旧執行部寄りの体制が再び強まれば、党内対立の解消は難しいとの見方もある。前原氏は今後も国政での活動を続けるとみられるが、「経験と実績を生かしきれなかった共同代表」という評価は、当面つきまとうことになりそうだ。