2025-06-01 コメント投稿する ▼
懲役・禁錮が廃止へ 新たな「拘禁刑」とは?社会復帰を重視した新刑罰制度がスタート
「懲役」「禁錮」が歴史の幕 新たな時代の「拘禁刑」始まる
6月1日、刑法の大きな改正が施行され、日本の刑罰体系が大きく変わった。これまで区別されてきた「懲役刑」と「禁錮刑」は廃止され、新たに「拘禁刑(こうきんけい)」に一本化された。目的は単なる罰則の執行ではなく、受刑者の社会復帰をより強く意識した制度設計へと移行することにある。
拘禁刑とは何か 懲役・禁錮との違い
拘禁刑は、受刑者を刑務所などの施設に収容するという点では従来の懲役・禁錮と共通するが、最大の違いは「刑務作業が義務ではなくなった」点だ。従来の懲役刑では、作業が法律で義務付けられていたが、新制度では「社会復帰に資すると判断された場合」に限り、個別に作業が課される。
つまり、刑務作業は受刑者の処遇方針の一つとして柔軟に運用されることになり、年齢や健康状態、犯罪の内容などを総合的に考慮して実施の可否が判断される。罰するだけでなく、再び社会で暮らすための準備を支える方向に制度が転換した。
受刑者の処遇は個別最適化へ
新制度のもう一つの柱は、受刑者の個性や状況に応じた“分類処遇”である。具体的には、受刑者は年齢、障害の有無、刑の長さ、生活能力などの観点から最大24の分類に分けられる。それぞれの分類に応じた作業訓練や教育指導、心理的ケアなどが提供され、再犯を防ぎ、社会復帰を支援することが主眼となる。
すでに服役している人についても、順次この新しい拘禁刑の運用方針が適用されることになっており、制度改正が既存の受刑者にも広く波及する。
社会復帰支援を目的とした改革
この刑法改正は、厳罰化の流れとは一線を画す動きだ。高齢化や障害を抱える受刑者の増加、出所後の孤立や再犯のリスクなど、社会の変化に応じた処遇が求められていた中で、制度の見直しが行われた。
今後は、作業以外にも生活訓練や就労支援、外部支援団体との連携などを含めた「トータルな更生支援」が求められる。また、民間社会にも受刑者の社会復帰を支える意識と受け皿の拡充が期待されている。
・「懲役」「禁錮」が廃止され、「拘禁刑」に一本化
・刑務作業は義務ではなく、社会復帰の必要性に応じて実施
・受刑者は24分類で処遇が個別化され、再犯防止を重視
・新制度は既存の受刑者にも適用され、時代に即した更生支援体制へ