2025-12-20 コメント投稿する ▼
外国人政策見直しで家族滞在32万人超、日本語教育支援が焦点に
高市早苗政権が進める外国人政策の見直しを受け、外国人との秩序ある共生のあり方を考えるシンポジウムが2025年12月20日、東京都港区の東洋英和女学院大学院で開催されました。鈴木馨祐前法務大臣が基調講演を行い、外国人対応について政府の実行力と発信力が問われていると訴えました。特定技能2号の急増により家族滞在者が32万人を超える中、日本語教育や自治体支援のあり方が議論の焦点となりました。
政府の実行力が問われる数年
シンポジウムは政治社会学会の移民難民研究部会が主催し、約30人が会場で参加したほか、約100人がオンラインで参加しました。
基調講演に立った鈴木馨祐氏は、外国人対応について「これからの数年が極めて大事な時期だ」と強調しました。さらに「政府の実行力と発信力が問われる」と述べ、外国人政策の重要性を訴えました。
鈴木氏は2024年11月に第2次石破内閣で法務大臣として初入閣し、2025年6月まで務めました。在任中は不法滞在者ゼロプランの策定や再審制度見直しなど、法務行政の改革に取り組んできました。
明治大学の山脇啓造教授は「日本の外国人政策には二重構造がある」と報告しました。「長年、移民政策を否定する言説が維持されてきた一方で、外国人の受け入れと定住は着実に進行してきた」と指摘し、この言説と現実の乖離が政府に対する国民の不信と自治体の疲弊を生み出していると説明しました。
「外国人受け入れは必要だけど、政府は移民政策じゃないって言い続けてるよね」
「うちの地域も外国人増えたけど、支援体制が追いついてない気がする」
「日本語できない子どもたちの教育、どうするんだろう」
「特定技能2号で家族も呼べるようになったら、そりゃ増えるよね」
「自治体の負担が大きすぎる。国がもっと支援してほしい」
特定技能2号が半年で3.7倍に急増
出入国在留管理庁の福原申子在留管理支援部長は、同庁が出入国管理だけでなく在留支援も担うようになった経緯を説明しました。
注目すべきデータとして、特定技能2号の在留者が2024年末の832人から2025年6月末時点では3073人と、半年間で約3.7倍に急増したことが報告されました。特定技能2号は家族帯同が認められており、永住も可能となるため、山脇氏は「移民政策と言える」と評価しました。
さらに家族滞在の在留者は2024年末時点で30万人を超え、10年間で約2.4倍になりました。2025年6月末時点ではさらに増えて32万5401人となり、全在留外国人の8.2パーセントを占めています。
2025年6月末時点の在留外国人は約395万人と過去最多を記録しており、今後も増加が見込まれています。
日本語教育の体制整備が急務
質疑応答では、愛知県の研究者が外国人の子どもの教育問題について質問しました。「日本語がまったくわからない子どもが100人くらいいる一方で、支援員の訪問は2週間に1度で、自治体は疲弊している」と現状を訴えました。
福原氏は「いま、そういう声が非常に増えている」と応じ、子どもの学習支援だけでなく母親の出産支援など、人生のさまざまな段階に寄り添って支援策を実施していく必要があると述べました。日本語学習については、文部科学省が子どもの学校入学前での支援策も検討していると説明しました。
山脇氏は学校教育における日本語教育の位置づけについて提言しました。「米国や豪州などでは移民のための言語教育の専門資格を持った教員がいる」と述べ、日本でも日本語科を設けたり、日本語教育の専門教員の育成を制度化する必要があると訴えました。
文部科学省の調査によると、2023年の公立学校における日本語指導が必要な児童生徒は約6万9000人に上っています。2012年と比べると約2倍に増加しており、支援体制の整備が急務となっています。
移民の定義づけが課題に
関西国際大学の毛受敏浩客員教授は、移民に対して否定的なイメージが広がっていると指摘しました。「移民について正面から議論すべき時期に来ている」として、政府は有識者会議などで新しい移民像について定義づけすべきだと問題提起しました。
福原氏は外国人の受け入れ自体に否定的なイメージがあるとし、外国人労働者の受け入れの必要性や肯定的な面をどう発信していくのか、工夫していきたいと語りました。
山脇氏は英語には移民を表す言葉が「イミグラント(永住者)」と「マイグラント(移住者)」の2つあるが、日本語では両方とも移民と訳されていることを指摘しました。「それが日本での議論を難しくしているのではないか」と述べました。
高市早苗首相は2025年10月の就任以来、外国人政策を主要課題の一つに据えています。11月には関係閣僚会議を設置し、2026年1月にも基本的な方向性を取りまとめる方針です。不法滞在者対策や土地取得規制の強化などが議論される見込みで、外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた政策が注目されています。