2025-06-14 コメント投稿する ▼
自民・木原氏「秋口が勝負」 給付は減税より即効性と強調 マイナンバー活用で“スピード重視”の給付策
木原選対委員長「給付は秋口、スピードが命」
自民党の木原誠二選挙対策委員長は6月14日、奈良県橿原市で開かれた党の会合において、石破首相が参院選公約として掲げた現金給付について、「タイミングとスピード感が最も大切だ」と述べ、即時性のある政策として強く支持する姿勢を示した。
木原氏は、春闘の賃上げが秋口に反映され始めることを念頭に、「秋以降が勝負。できるだけ早い段階で給付を行うべきだ」と明言。賃金上昇の波を逃さず、消費を後押しする狙いがあると語った。
「賃金が上がっても消費が動かなければ、経済全体は冷え込む。今のタイミングだからこそ、スピーディーな給付が必要」とし、特に現役世代の可処分所得を一時的にでも引き上げることで、内需の回復を狙うという立場だ。
「減税では遅い」給付が最善という判断
また木原氏は、消費税や所得税の減税といった恒久的な政策は「制度変更に時間がかかり、年内の消費活性化には間に合わない」と指摘し、今回のような給付による迅速な対応が必要だと訴えた。
ただし、ここには見落とせない前提がある。減税はたしかに制度面で時間を要するが、それは「制度を変える意思と準備」が本気であれば、もっと迅速に進めることも可能なはずだ。実際、過去においても税率変更は短期間で行われた例がある。
給付金はその場しのぎであり、将来的には再び徴税で取り戻される。一方、減税は可処分所得を恒久的に押し上げ、民間の経済活動を継続的に刺激する力がある。木原氏の言う「スピード感」は理解できるが、目先の効果だけに頼るのは危険である。
「マイナンバー給付」でデジタル政治アピール
木原氏はさらに、今回の給付には「マイナンバーカードと紐付いた公金受取口座を活用する」と明言。これは、給付の即時性を担保すると同時に、マイナンバー制度の普及促進にもつながる「新しい形の給付モデル」だと強調した。
マイナンバーに関連する給付は、過去にトラブルも多く、不信感を持つ国民も少なくない。しかし木原氏は、「今回はデジタル社会のインフラとして制度が整ってきた」と前向きに述べ、従来のような手続き遅延や不正受給を防ぐ設計がなされているとした。
とはいえ、制度の透明性やセキュリティの担保が不十分なまま拙速に給付を行えば、新たな混乱を招く危険性もある。スピードだけでなく、制度への国民の信頼こそが問われる。
ネットの反応は「給付疲れ」から「本気の減税を」へ
木原氏の「秋口に給付」「スピード感重視」といった発言は、SNSでも議論を呼んでいるが、国民の反応は必ずしも好意的ではない。
「もう給付には期待してない。どうせ後で税金で取られる」
「マイナンバーの給付って、漏洩とか不正がまた起きるんじゃ?」
「減税なら毎月助かるけど、給付は一回きり」
「公約で票を買ってるようにしか見えない」
「数ヶ月前に給付金を一旦辞めて今度はスピード感とかw」
これらの声が示す通り、給付金に対する信頼は低下しつつある。特に、何度も繰り返されてきた「選挙前の給付」に対しては、すでに国民の間で“見透かされた戦術”として冷ややかな目が向けられている。
選挙前の給付より、恒久的な税負担軽減を
木原氏の発言が象徴するように、政府・与党は依然として「スピード重視」の給付策を主軸に据えている。しかしそれは、選挙前に目に見える成果を示したいという意図が透けて見える。
一方、真に国民の生活を支えるには、継続的な所得向上が不可欠であり、それを実現するのは給付ではなく減税だ。とりわけ消費税や所得税の負担軽減、インボイス制度の見直しといった構造的対策こそが、長期的には有効な経済刺激策となる。
給付で票を得ようとするのではなく、減税で国民の信頼を得る。それこそが、いまの政治に求められている「本物のスピード感」ではないだろうか。