2025-12-09 コメント投稿する ▼
給食無償化「棚ぼた公約」のツケは自分で払え 政治家の無責任が露呈
現在、全国1,794自治体のうち722の自治体が独自に給食無償化を実施しているが、9割を超える自治体で給食無償化の目的として子育て支援を掲げており、次いで少子化対策、定住・転入促進を掲げる自治体がそれぞれ約1割となっています。 つまり、多くの自治体が効果的な検証もないまま、人気取りの政策として給食無償化を実施しているのが実情です。
「棚ぼた公約」のツケは自分で払え 給食無償化で露呈した政治家の無責任
自民、日本維新の会、公明の3党が2025年12月9日に全国知事会に示した給食無償化案で、都道府県が支援額の半分を負担することが判明した。平井伸治全国知事会副会長(鳥取県知事)は面会後に「給食は市町村の事業なのに『もらい事故』だ」と発言し、地方自治体の困惑を表した。しかし、この混乱の根本原因は、全額国費による給食無償化が実現しそうな雰囲気を見て安易に公約に掲げた政治家・首長の無責任さにある。今こそ「棚ぼた公約」のツケは自分で払うべき時だ。
全額国費断念で露呈した甘い皮算用
3党は4日の実務者協議で全額国費による完全無償化を断念し、自治体にも一定の負担を求める方針を示していた。これにより、多くの政治家や首長が描いていた「国がお金を出してくれるから楽勝」という甘い皮算用が崩れ去りました。
現在、全国1,794自治体のうち722の自治体が独自に給食無償化を実施しているが、9割を超える自治体で給食無償化の目的として子育て支援を掲げており、次いで少子化対策、定住・転入促進を掲げる自治体がそれぞれ約1割となっています。
しかし、成果検証・評価を実施する自治体は「実施済」「実施予定有」を合計しても119(無償化実施自治体の16.5%)に過ぎません。つまり、多くの自治体が効果的な検証もないまま、人気取りの政策として給食無償化を実施しているのが実情です。
政治家の「棚ぼた公約」が生んだ混乱
自公連立政権時に「給食費無償化」が国政レベルで議論されるようになった時、多くの政治家や首長がこれを見て「これは使える」と判断し、自らの公約に給食無償化を盛り込みました。まさに「棚からぼた餅」的な公約だったのです。
学校給食法などでは、給食を提供するための設備費や人件費を自治体の負担とする一方、食材費は保護者の負担としており、各自治体が給食費として徴収しているのが本来の制度です。つまり、給食費の無償化は本来、自治体が財源を確保して実施すべき政策なのです。
無責任な公約の代償
全額国費による完全無償化が絶望的になった今、これまで軽い気持ちで給食無償化を公約に掲げた政治家・首長は、自らの責任で実現に向けて尽力するべきです。有権者に約束したことを「国がお金を出してくれないから無理」では済まされません。
給食無償化は都道府県や市区町村などのレベルに留まらず、国が助けてあげないといけない問題で、子どもたちは全国どこに住んでいても平等でなくてはいけないという理想論はもっともです。しかし、現実問題として、公約に掲げた以上は政治家自身が責任を持って実現すべきです。
知事会の「もらい事故」発言の真意
平井副会長の「もらい事故」発言は、地方自治体の率直な気持ちを表しています。給食は確かに市町村の事業であり、都道府県が半分負担する合理的理由は乏しいのが現実です。
3党から支援額について、2023年の文部科学省による実態調査を基にした給食費の1人あたりの月額平均だった約4700円から引き上げたうえで、国と都道府県が折半する案が示されたものの、地方交付税で措置するといっても、不交付団体などからの反発は避けられません。
また、「保護者側に負担を求める余地もある」という趣旨の発言もあったということは、完全無償化からさらに後退する可能性も示唆しています。
政治家の責任逃れを許すな
給食無償化が行われても、その恩恵を受けられない児童や生徒もおり、給食が選択制の場合やアレルギーがある場合など、さまざまな事情により弁当を持参しているケースや不登校で給食を利用していない児童や生徒との間に不平等が生じるという課題もあります。
さらに、生活保護受給世帯や低所得の世帯は、これまでの制度でも給食費は無償になっていたため、所得制限がない一律の給食無償化には格差是正につながらないという課題もあります。
これらの課題を十分に検討せずに、人気取りのために軽々しく公約に掲げた政治家の責任は重大です。「国がお金を出してくれると思った」は言い訳になりません。
真の政治改革は責任の明確化から
真の政治改革を実現するためには、政治家が自らの公約に責任を持つ仕組みづくりが必要です。従来の選挙公約が具体性を欠く抽象的なものであったことから、政策の目標数値・達成期限・財源・工程などが具体的に明示された選挙公約をマニフェストというのです。
給食無償化を公約に掲げた政治家・首長は、今こそ具体的な財源確保策を示し、実現に向けて全力で取り組むべきです。「棚ぼた公約」の甘い夢から覚めて、有権者への責任を果たす時が来ています。
国に頼り切りではなく、地方自治体の創意工夫と政治家の覚悟で給食無償化を実現してこそ、真の地方分権と責任ある政治が実現するのです。安易な公約を掲げた代償を、今度は都道府県に押し付けようとする姿勢は、政治不信を深めるだけでしかありません。