2026-03-04 コメント投稿する ▼
釧路湿原メガソーラー、400万円の土地を8000万円で村が買い取り 山岡達丸議員が追及
2026年3月4日の衆院予算委員会で、中道改革連合の山岡達丸議員が、北海道釧路湿原周辺のメガソーラー建設をめぐり、鶴居村が事業者から土地代400万円の土地を総額8000万円で買い取る問題について、石原宏高環境大臣を追及しました。 山岡議員は、自治体が開発阻止のために高額な買い取りを迫られる事例が広がることへの懸念を表明し、自治体への許認可権限の付与を提案しました。
山岡議員は北海道第9区(室蘭市、苫小牧市、登別市、伊達市ほか)選出で、元NHK記者の経歴を持ちます。2026年2月の衆院選で4期目の当選を果たし、立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合に参画しています。地元北海道の環境問題に精通し、釧路湿原メガソーラー問題では具体的なデータを示しながら政府を追及しました。
400万円の土地が8000万円に
山岡議員は質疑で、釧路湿原国立公園の最奥地にある約10ヘクタールの土地について、メガソーラー建設事業者の開発行為を止めるため、鶴居村が最終的に買い取ることになった経緯を説明しました。土地代は400万円ですが、補償込みで8000万円という20倍の価格を村が支払う事態となっています。
鶴居村は、大阪の事業者である日本エコロジーが所有する釧路湿原周辺の土地を景観保護のために買い取る方針を固めました。買い取り額8000万円のうち、土地代は400万円で、残る7600万円は森林伐採などの開発費用に対する補償です。財源には、景観保護のために全国から集まった寄付金を活用する計画です。
「また海外にバラマキではなく国内の問題だが、こういう事態こそ対処すべき」
「メガソーラー事業者が自治体から高値で土地を買い取らせる商売が成立してしまう」
「国の政策なのに自治体が尻拭いさせられている」
「許認可権限が自治体にないことが根本的な問題」
「再エネ推進と地域保護のバランスが完全に崩れている」
石原環境大臣は明言避ける
山岡議員は石原環境大臣に対し、この8000万円という金額が妥当なのかを質しました。石原大臣は「地域と共生できないような再エネはしっかりと抑制をし、そして地域と共生できる再エネは促進していくべきである」と一般論を述べた上で、「土地の買取価格については、現在地域でご議論されていると承知している。その段階でご回答は控えたい」と述べるにとどまりました。
石原宏高環境大臣は、2025年10月21日に高市政権で環境大臣兼内閣府特命担当大臣(原子力防災担当)に就任しました。父の石原慎太郎氏は福田赳夫内閣で環境庁長官を、兄の石原伸晃氏は第2次安倍内閣で環境大臣を務めており、親子3代で環境行政を担う形となりました。
就任会見では、環境破壊につながる太陽光パネル開発の抑制に取り組む姿勢を示していましたが、今回の答弁では具体的な対応策には言及しませんでした。
自治体に許認可権限がない矛盾
山岡議員はさらに、事業者が自治体に土地を高く買い取らせる事例が広く横行する懸念を表明しました。「これはもともとの枠組みは国の政策である。自治体には許認可の権限がない」として、許認可の権限を所管している林芳正総務大臣に対し、「自治体にこの再エネの導入に関しての許認可権限を与えるべきではないか」と提案しました。
林総務大臣は、「自治体の実務に関係のある関係法令の運用の見直し、そして事業開始した事案に対する実効的な取組で自治体に必要な情報の共有し、総務省としても自治体の声をしっかりとお聞きながら関係省庁とともに地域共生型の再生可能エネルギーの導入について、自治体としっかり連携して取り組んでまいりたい」と述べました。
林芳正総務大臣は、高市政権で2025年10月21日に総務大臣に就任しました。外務大臣、文部科学大臣、農林水産大臣、内閣官房長官など数多くの閣僚を歴任しており、政策通として知られています。2025年9月の自民党総裁選にも立候補し、国会議員票で2位の得票を得ました。
しかし、今回の答弁では許認可権限の自治体への移譲については明言を避け、「関係省庁との連携」という従来の枠組みにとどまりました。
釧路湿原メガソーラー問題の背景
釧路湿原周辺では、国立公園などの保護区域から外れた土地でメガソーラー計画が相次いでいます。背景には、1970年代から80年代にかけて原野商法の舞台となり、区画が細かく区切られたまま放置された土地が多く存在することがあります。
所有者にとっては固定資産税の負担が重く、売却を望む人が多い一方、評価額は低く買い手がつきにくい状況でした。そこに太陽光発電事業者が、評価額の10倍程度の価格で買い取りを提示するケースが出てきました。
鶴居村は2025年12月にも、日本エコロジーがメガソーラー施設の建設を計画していた隣接する民有地約7.5ヘクタールを、日本ナショナル・トラスト協会と費用300万円を折半して購入しています。今回が2度目の土地買い取りとなり、村の財政負担は累積していきます。
日本エコロジーは釧路市でも複数のメガソーラー建設を計画しており、釧路市は「ノーモアメガソーラー宣言」を発表しましたが、法的拘束力はありません。オジロワシの巣があることが発覚し、文化財保護法に基づき一部の工事が制限されましたが、事業者は建設を取りやめる予定はないとしています。
国の再エネ政策と地方負担の矛盾
今回の問題は、国が推進する再生可能エネルギー政策と、地域の環境保護や景観保全の間に生じた深刻な矛盾を浮き彫りにしました。自治体には開発を止める法的権限がなく、最終的には高額な土地買い取りという手段に頼らざるを得ない構図となっています。
山岡議員の指摘通り、このままでは事業者が「開発計画を立てて自治体に高値で買い取らせる」というビジネスモデルが成立してしまう恐れがあります。国の政策として再生可能エネルギーを推進しながら、その弊害を地方自治体に押し付ける形になっており、政策の見直しが求められています。
鶴居村はタンチョウの越冬地としても知られ、貴重な自然環境を有しています。釧路湿原国立公園に隣接する雪裡地区の景観を守るため、村は苦渋の決断として土地買い取りに踏み切りました。しかし、寄付金に頼る財源確保には限界があり、持続可能な解決策とは言えません。
高市政権は、地域と共生する再生可能エネルギーの推進を掲げていますが、具体的な制度改革には踏み込んでいません。自治体への許認可権限の付与や、開発規制の強化など、抜本的な対策が必要です。