2025-07-01 コメント: 1件 ▼
沖縄の路線価6.3%上昇も「暮らしと乖離」 観光偏重の歪みが生活圧迫に波及
沖縄の路線価、2025年は6.3%上昇 全国2位の伸び率も「生活実感と乖離」 観光偏重政策の弊害か
観光と投資が牽引、路線価は11年連続で上昇
沖縄国税事務所が7月1日に発表した2025年1月1日現在の沖縄県内の路線価によると、標準宅地の評価基準額は前年比6.3%の上昇となり、11年連続で値上がりした。全国平均の2.7%を大きく上回り、東京都(8.6%)に次ぐ全国2位の上昇率となった。
最高価格地点は那覇市久茂地3丁目・国際通り(みずほ銀行那覇支店前)で、1平方メートルあたり156万円(前年比4.0%増)。この地点は2002年から24年連続で県内最高を記録しており、沖縄経済の象徴とも言えるエリアだ。
一方で、変動率が最も高かったのは宮古島市の西里大通りで18.5%増、次いで北谷町美浜1号線が12.0%増、那覇市おもろまち中環状線前が9.1%増など、観光地や都市部での価格上昇が目立つ。
「路線価ばかり上がって、給料は全然変わらん」
「観光客が来るほど地元が住みにくくなるって本末転倒じゃない?」
「宮古島の土地が18%も上がって…誰が買うの?」
生活が追いつかない地価上昇 「実需」なき価格高騰
今回の地価上昇は、あくまで観光業の復調や不動産投資による“外需主導”が主因であり、県民の所得や雇用環境と連動しているとは言い難い。沖縄県の平均年収は全国最下位レベルにとどまる一方、住宅価格や賃料は急騰を続けており、住民の生活実感とのギャップが広がっている。
実際、地価が上昇する地域では地元住民の土地取得や住宅購入が難しくなっており、資産を持つ一部の層と、持たざる若年層・子育て世帯との格差を拡大させる構図が懸念されている。
「地価が上がるたびに家賃も上がってる。観光で潤ってるのは誰?」
「うちは3世代で暮らしてるけど、土地が高くて子どもは建てられない」
「外から来た人のための沖縄になっていないか?」
観光依存の都市戦略、問われる持続可能性
沖縄県はこれまで、観光を経済の柱として位置づけ、入域観光客数の増加を成長戦略の要とする方針を掲げてきた。2024年には国内からの観光客数が過去最高を更新し、ホテルや飲食業の新規出店が相次いだ。
しかし、その果実は観光関連業界や県外資本が中心となって享受しているのが実態であり、インフラ整備や住環境、教育・福祉など住民の生活基盤への還元が不十分との批判も根強い。
「ホテルばっかり建って、地元の人が住めない」
「観光客は増えたけど、保育園や病院は足りないまま」
「“観光立県”って言うなら、地元の暮らしも立たせてくれ」
都市計画や観光政策が「地元優先」ではなく「外からの金優先」になっているという指摘は近年ますます強まっており、観光偏重型の地域経済構造に対する根本的な見直しが求められている。
「売れる土地」より「住める地域」を
今回の発表は、不動産価値や資産評価の観点では明るい材料だが、住民生活との乖離が進む現実を映し出すものでもある。
今後の課題は、観光・開発による経済効果を県民生活へ適切に還元し、地価上昇が「地域の誇り」ではなく「暮らしの圧迫」にならない仕組みをつくれるかどうかにある。
「路線価が上がって嬉しいのは誰なのか」「沖縄に住み続けたい人の声が政策に反映されているか」――この問いに、政治と行政がどう答えるのかが、今まさに問われている。