2026-03-02 コメント投稿する ▼
沖縄県の玉城デニー知事、イラン攻撃は国際法違反
沖縄県の玉城デニー知事が3月2日、記者団の取材に応じ、米国とイスラエルによるイラン攻撃について「まかりならん。国際法違反だ」と強く批判しました。日本政府が米側に追従することはあってはならないとし、一日も早い停戦を呼びかけるべきだと主張しました。玉城知事の発言は、日米同盟を重視する高市政権の外交姿勢と真っ向から対立するものです。玉城知事は、イランがアラブ諸国にある米軍基地拠点などへ反撃したことを念頭に「攻撃の連鎖を生むようなことを、日本政府が積極的に支援するという姿勢を見せるべきではない」とも訴えました。
国際法違反との主張の根拠
玉城知事が「国際法違反」と断じた根拠は、国連憲章および国際慣習法にあると考えられます。国連憲章においては、力によって紛争を解決する武力行使は原則として違法です。例外的に、武力攻撃が発生した場合に、安保理決議による授権があるとき、または安保理が必要な行動をとるまでの間の自衛のために必要かつ均衡性のある武力行使のみが許されています。
米国とイスラエルは「自衛のためである」と主張していますが、米国およびイスラエルに対するイランによる武力攻撃は発生していません。両国は安保理の緊急会合の中で、「イランの指導者はイスラエルを地図から消し去ると発言してきた」「核開発を放棄しておらず、我が国に対する武力攻撃の差し迫った恐れがある」と主張しています。
しかし、国連憲章上、各国には紛争を平和的に解決する義務、すなわち外交努力等を基礎として紛争解決を図る義務があります。実際、米国とイランは核協議を継続しており、直近でも一定の進展があったと報じられています。
「玉城知事の言う通り、これは明らかな国際法違反だ」
「日本政府は米国に追従せず、独自の外交を展開すべき」
「でも現実問題、米国との同盟関係を無視できないのでは」
「沖縄に米軍基地がある以上、無関係ではいられない」
「理想論だけでは外交は成り立たない。玉城知事は無責任」
国際社会も見解が割れる
今回のイラン攻撃をめぐっては、国際社会の見解も大きく割れています。
中国の王毅外相はロシアのラブロフ外相との電話会談で、中国は国際関係における武力行使に反対すると表明し、イランへの攻撃とイラン最高指導者ハメネイ師の殺害は「受け入れられない」と述べました。ロシアのプーチン大統領も、ハメネイ師殺害は道徳規範と国際法に違反すると非難しました。
イランのアラグチ外相も「国連憲章や国際法の重大な違反だ」とSNSで訴えました。
一方、カナダのマーク・カーニー首相は「イランの核兵器開発を阻止し、国際平和と安全のために行動するアメリカを支持する」と声明を発しました。
日本国内でも見解が分かれています。公明党の西田実仁幹事長は、党のホームページで「今回の米国、イスラエルのイラン攻撃は、以前から計画されていたとの情報もあり、力による一方的な現状の変更は国際法に違反し、許されることではない」とし、反対する考えを明らかにしました。
日本維新の会の猪瀬直樹参議院幹事長は、自身のXで「とうとうトランプ大統領は本格的にイランと戦争を始めました。昭和16年でも一方で日米交渉を続けつつじわりじわりと追い詰めていく、そのやり方は踏襲されているようです」として、アメリカの手法は第二次世界大戦時と似ていることを指摘しています。
高市政権の姿勢との対立
玉城知事の発言は、高市政権の外交姿勢と真っ向から対立するものです。
木原稔官房長官は3月1日未明の記者会見で、米国とイスラエルによるイラン攻撃を日本政府として支持するか問われ明言しませんでした。「国際的な核不拡散体制の維持のためにもイランによる核兵器開発は決して許されない」と話すにとどめ、米国などの行動に対する論評は避けました。
日本政府は、米国を明確に支持するとは言わないまでも、「イランの核兵器開発は決して許されない」という立場を明確にしています。これは、国際的な核不拡散体制を維持する観点から、米国の行動に一定の理解を示したものと解釈できます。
玉城知事が「日本政府が米側に追従するということはあってはならない」と主張したことは、この高市政権の慎重ながらも米国寄りの姿勢を批判するものです。
攻撃の連鎖が現実に
玉城知事が懸念した「攻撃の連鎖」は、すでに現実のものとなっています。
イランは、米国とイスラエルの攻撃への報復として2月28日夜から3月1日朝にかけて、アラブ首長国連邦のドバイやカタールの首都ドーハを攻撃しました。3月1日にはUAEとオマーンも攻撃しました。
ドバイではドバイ国際空港とランドマーク的なホテル「ブルジュ・アル・アラブ」、人工島パーム・ジュメイラ島が被害を受けました。ドバイ広報局によると、ドローンを迎撃した際、その破片が住宅2棟に落下し2人が負傷しました。
報道によると、UAEのザイード国際空港ではアジア国籍の1人が死亡、7人が負傷したほか、ドバイ国際空港では4人が負傷し、旅客ターミナルが損傷する被害が確認されました。バーレーン国際空港はドローンによる攻撃で施設が損傷したと発表しました。
イランは湾岸地域の米軍基地を標的とするとしていましたが、攻撃の対象が広がり、民間インフラに被害が出ています。これは、玉城知事が懸念した「攻撃の連鎖」が現実化したことを示しています。
日本国内でも抗議活動
日本国内でも、米国とイスラエルによるイラン攻撃に抗議する動きが出ています。
市民団体「平和と民主主義をめざす全国交歓会」は、大阪市北区の駐大阪・神戸米国総領事館前で「武力で平和は作れない」などと書かれたカードを掲げ、「アメリカ、イスラエルは国際法違反のイラン攻撃をやめろ」とシュプレヒコールを上げました。
市民グループ「広島パレスチナともしび連帯共同体」は、広島市の原爆ドーム前で「NO WAR ON IRAN」などと書かれたプラカードを掲げ、マイクを手渡しながら「イスラエルとアメリカの行動を黙認してはいけない」「日本政府も動かなければならない」などとアピールしました。
理想と現実の狭間で
玉城知事の「国際法違反」との主張は、国際法の原則論からすれば一定の根拠があります。しかし、日本は米国と同盟関係にあり、原油の9割以上を中東地域に依存しているという現実があります。
日本政府は、米国との同盟関係と中東諸国とのエネルギー関係の間で難しい外交判断を迫られています。高市政権は、米国を明確に支持するとは言わないものの、核不拡散体制の維持を重視する姿勢を示しています。
玉城知事の主張は、理想論としては正しいかもしれませんが、現実の国際政治の中で日本がとりうる選択肢は限られています。理想と現実の狭間で、日本外交の難しさが浮き彫りになっています。